2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24710007
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
横田 久里子 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60383486)
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Keywords | 水銀 / 森林 / ノンポイント汚染 / 越境大気汚染 |
Research Abstract |
東シナ海の東の端に位置する屋久島(西部地域)において,森林域における雨,土壌水,河川水の水銀動態に着目したところ,採取時期によって濃度にばらつきがみられるものの,相対的には,林内雨>林外雨≧渓流水>土壌水の順に低くなることがわかり,降雨によって沈着した水銀の大部分は森林土壌に吸着されていることが明らかとなった.また,酸性雨の原因物質などは降雨時間(量)とともに濃度が低下していくが,水銀においては,降雨初期において濃度は低下傾向にあるものの,ある段階においてからは一定の濃度で推移していた.このことは,降水量が多くなればなるほど,降水量に依存して沈着量が大きくなることを示しており,降水量の多い山岳地域では水銀沈着量が多くなることを示唆している. 冬季から春季にかけて,季節風の影響により越境大気汚染の影響を受けることは広く知られている.そこで,韓国岳(鹿児島県,1,700m)において,樹氷及び雪を採取したところ,雪では総水銀が1~15ng/lと降水と同程度の値であったのに対して,樹氷では総水銀がおおよそ100ng/lと降水の10倍程度高い値を示しており,今後詳細な調査研究が必要であることを示している. 宇連川源流域における森林動態について,1週間に1度の定期調査から算出した2013年の水銀年間流出負荷量は2.85µg/m2/yearであった.また,湿性降下物の沈着量においては,林外雨で8.81µg/m2/year,林内雨では19.1µg/m2/yearであった.このことにより,定点下流に位置する宇連ダムにおいては,単位面積当たりの負荷および沈着量は河川からの流入負荷よりも,降雨に伴う湿性沈着のほうが大きいことが明らかとなった.
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