2012 Fiscal Year Research-status Report
サンゴが放出する有機物が微生物食物連鎖に与える影響の解析
Project/Area Number |
24710013
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
中嶋 亮太 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, ポストドクトラル研究員 (20546246)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | サンゴ粘液 / 微生物食物連鎖 |
Research Abstract |
貧栄養なサンゴ礁生態系が何故多様で生産性の高い環境となりえるのか長年の謎であったが,その答えの1つとして「サンゴ粘液」が注目されている.サンゴ粘液とはサンゴが体外に出す分泌物であり,細菌の成長を促進し物質循環を円滑に駆動させる役割があることが近年わかってきた.このサンゴ粘液が微生物食物連鎖全体の炭素フローを促進させる可能性があるため,本研究ではサンゴ粘液が微生物食物連鎖の炭素フローに与える影響を定量することを目的としている.平成24年度は,サンゴ粘液の微生物群集への影響をみるため,海水をサイズ分画し(細菌のみ, 0.8μm; 細菌+鞭毛虫, 5μm),それぞれエダコモンサンゴの培養水(粘液が含まれる)で培養を行い,細菌・鞭毛虫数,DOC,栄養塩の変動を調べた.エダコモンサンゴのいない培養水においても同様に実験を行った.実験は琉球大学瀬底実験所で行った.実験の結果,粘液由来のDOCは48時間以内に細菌に利用され,細胞数が増殖し,それに伴い鞭毛虫の増殖が確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に若干の変更はあったが(より定量性をもたせるために透析バッグの使用からサンゴ培養水の使用に切り替えた),当初の目的である「サンゴ粘液→細菌→鞭毛虫」の炭素フローを実験的に示すことが出来た.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は現場実験を行う.前年度と同様にサイズ分画した海水を用いて,各サイズ別に透析膜バッグに移し,透析バッグをサンゴ礁に沈め培養を行う(現場実験).これを季節毎(4回)に行い,サンゴによる粘液生産量の季節的な違いと結びつけて,現場環境におけるサンゴ有機物から始まる微生物食物連鎖の炭素フローを調べる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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