2014 Fiscal Year Annual Research Report
腐植酸の収着と生分解が相互作用したベンゾピレンの生物毒性に及ぼす影響
Project/Area Number |
24710014
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
柳 由貴子 山口大学, 農学部, 助教 (20412819)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 腐植物質 / ベンゾ[a]ピレン / 急性毒性 / 緑藻 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度においては,昨年度までで使用した腐植酸に加えて新たに3点を追加して,蛍光消光法によるベンゾ[a]ピレン(BaP)の収着特性,ならびにP. subcapitataに対する生育阻害軽減効果を検討した。収着特性については,いずれの腐植酸においても腐植酸濃度の増大とともに収着量は増大し,収着係数(Koc)は2.5~14.8 ×106 L/kgCの範囲を示した。また,P. subcapitataの生育阻害軽減効果も,いずれの腐植酸についても濃度の増大とともにBaPの毒性は軽減される傾向が認められた。しかしながら,泥炭土腐植酸2点については高い腐植酸濃度において再び生育阻害が認められた。そこで,泥炭土を除いた腐植酸4点のKocと生育阻害軽減プロットの回帰直線の傾きとの関係を検討したところ,高い相関関係が認められ腐植酸分子への収着によりBaPの急性毒性は軽減されることが示唆された。また,腐植酸の芳香属性がBaPの収着ならびに毒性軽減に関与することも示唆された。 さらに,生分解による毒性の変化を検討するためにBaPを収着させた褐色森林土腐植酸にLaccaseを加えて分解反応を行った培地にP. subcapitataを接種してその生育割合を算出した。その結果,Laccase量の増大に伴い未処理区と比べて毒性の軽減が認められたが,特に腐植酸存在下での高濃度条件(Laccase:56mg/L)では極めて高い毒性軽減効果を示した。三次元蛍光スペクトルにより腐植酸およびBaPの変化を検討したところ,腐植酸・Laccase添加区ではBaPに帰属されるピークの減少が顕著に認められ,同時に腐植酸に由来するスペクトルの形状変化も認められた。これらのことから,腐植分解酵素によりBaPと腐植酸の両方が変化することで,BaPの毒性が変化する可能性が考えられた。
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Research Products
(4 results)