2013 Fiscal Year Annual Research Report
パルスレーザーを利用したラマン分光法による、氷床コアに含まれる微粒子解析の研究
Project/Area Number |
24710015
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Research Institution | Institute for Laser Technology |
Principal Investigator |
櫻井 俊光 公益財団法人レーザー技術総合研究所, レーザープロセス研究チーム, 研究員 (00581810)
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Keywords | 氷コア / レーザー分光 / 微生物 / イオン / レーザー融氷雪 |
Research Abstract |
レーザーの特徴を活かした極地氷床に含まれる物質計測、あるいは物質の抽出方法について検討した。計測方法として、1)パルスレーザーを利用した電子増強ラマン分光法(EERS)およびレーザーブレークダウン分光法(LIBS)による水溶液中に含まれるイオンと水の計測、2)深紫外レーザー誘起蛍光分光法(DeepUV LIFS)を利用した微生物の計測、抽出方法として、3)赤外レーザーによる局所的な氷の融解方法について検討を進めてきた。 1)532nmのパルスレーザーを利用したEERSではイオンを含む水溶液を計測した。水やイオンのEERスペクトルが得られ、塩化物水溶液のイオン濃度変化に伴う水の構造に関する知見も得られた。高強度になるとLIBSによってナトリウム原子の輝線スペクトル等も同時に計測されるため、氷床コア中に含まれる微粒子の化学組成と元素組成を一度に計測することが可能になると考えられる。ただし、高強度の光が照射された部分は数千℃の高温状態になることが水のEERスペクトルから示唆された。氷破壊分析としては有用な計測手法であると考えられる。 2)248nmのパルスレーザーを利用したDeepUV LIFSによってアミノ酸および微生物サンプルからの蛍光スペクトルが得られた。計測された鉱物からの自家蛍光がないことから、微生物由来の氷床内に存在する微生物の計測方法としては最適であると考えている。ヤングの式で示されるように微生物の栄養源となるイオンを含む水は、氷床深部ではごく限られた結晶粒界に存在することがわかった。氷非破壊で微生物を計測する際には重要な知見となる。 3)氷は赤外帯域の波長をよく吸収することが解っている。10.6μmのCWレーザーを氷に照射すると照射された部分の氷が融解して、およそ50 W/cm2程度の照射強度で1mm/s程の融解速度が得られた。レーザー掘削技術あるいはレーザーによる局所的な融解方法として氷床コア解析への応用が期待できる。
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