2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規PCB汚染源の解明と定量的評価方法の確立に関する研究
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24710016
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Research Institution | Hokkaido Research Organization |
Principal Investigator |
姉崎 克典 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, その他部局等, 研究員 (20442634)
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Keywords | 顔料 / ポリ塩化ビフェニル / 非意図的生成 / ケミカルマスバランス / ペンタクロロベンゼン / ヘキサクロロベンゼン |
Research Abstract |
顔料中のPCBs分析法について検討した。油分への対応として、硫酸処理、多層シリカゲルクロマトグラム処理、スルホキシドカラムと銀イオンカラムにより、残留する油分及び硫黄分を効果的に除去した。また、高分解能GC-MSとサロゲートを用い高い分析精度を確保した。 この分析法により、国内外の種々の顔料及び油絵の具におけるPCBs汚染の実態調査を行った。アゾ顔料、フタロシアニン顔料、ジオキサジンやジケトピロロピロールといった多環式顔料、ナフトールAS顔料からPCBsが検出され、その濃度レベルは0.0070~740mg/kgであった。フタロシアニンタイプからはPeCBzやHxCBzも検出され、それぞれ0.0035~75mg/kgだった。それぞれの顔料におけるPCBsのコンジェナーパターンはカネクロール等のPCB製品とは大きく異なり、例えばアゾ顔料ではPCB-11やPCB-52が、フタロシアニンではPCB-209が特徴的に検出された。 このような顔料に特徴的なコンジェナーの環境での挙動について札幌市及び室蘭市の大気及び室蘭港における底質で検討した。環境大気ではカネクロールには含まれていないPCB-11が一定割合で検出された。またPCB-11はカネクロール主要コンジェナーとは異なる挙動が認められた。室蘭港においては港湾深部ではPCB-11の影響は小さいものの、港湾外では全PCBsの10%程度を占めていた。 顔料として特に生産量が多いアゾ顔料とフタロシアニン顔料の環境影響を定量的に評価するために、ケミカルマスバランス(CMB)法を用いて統計的に解析する手法について検討した。解析には柏木らが開発したCMBの未知発生源の存在に対応したベイズ型組成半因子モデルを使用した。解析においては説明変数をできるだけ少なくし、汎用性を高めた解析法について検討した。この解析法を環境試料に適用して、その有用性、妥当性について検討し、良好な結果を得た。
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