2012 Fiscal Year Research-status Report
近年の日射量増加が閉鎖性海域の一次生産および貧酸素水塊に与える影響に関する研究
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24710023
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
田中 陽二 横浜国立大学, 都市イノベーション研究院, 研究教員 (30455498)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | Global brightening / 一次生産 / 貧酸素水塊 / 閉鎖性内湾 |
Research Abstract |
基準年を2010年として、気象データ・河川データ・開境界データを整理し、ナウキャストシミュレーションを行った。伊勢湾では中部地方整備局によって伊勢湾モニタリングポストが4地点に設置されており、水温・塩分・流動・クロロフィルa・DO等が1時間間隔で観測されているため、それを用いて計算結果の検証を行った。 2010年の基本ケースと日射量を10%削減したケースとの計算結果の比較・解析を行った。一次生産の時空間的な変動パターンとして、河口付近で一次生産が大きく低下しており、湾全体では一次生産が2.8%低下した。日射量が10%削減に対し、一次生産が2.8%の低下に留まった理由は湾央部では栄養塩制限によって日射量の増加が抑えられたためであった。貧酸素水塊の体積は全体的に増加し、8月平均では5.8%の増加となった。底層での溶存酸素のフローを調べたところ、酸素消費量の増加は植物プランクトンとバクテリアの呼吸量の増加が主原因であった。したがって、酸素消費が増えたメカニズムとして、日射量増加によって一次生産が増加し、それによって動物プランクトンや原生動物が増加し、デトリタスが増加するとともにバクテリアが増加し、生物呼吸による酸素消費とアンモニアの酸化等による化学的な酸素消費が増加していた。 本研究内容は海外ジャーナル誌に投稿した(投稿中)。また、本研究から派生したサブ研究として、メッシュサイズに依存した格子細分化指標の検討も行い、土木学会論文集に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2012年度は伊勢湾において解析を行った。具体的には、水平方向のメッシュサイズを800mとして、日射量の10%変動に対する一次生産量と貧酸素水塊の体積の応答を、数値モデルを用いて行った。詳細な内容や研究発表状況は研究実績の概要に記述した。当初の計画通りに進捗しており、研究の達成度は高いと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の状況では、大きな問題は生じておらず、2013年度も順調に研究が遂行できると考えている。去年度に購入した計算機をフル活用するとともに、観測結果との比較を行うことで日射量に対する応答の裏付けを行いたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)