2014 Fiscal Year Annual Research Report
家畜伝染病防除のための消石灰散布が生態系に及ぼす影響
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24710034
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
森 美穂 近畿大学, 農学部, 准教授 (70581031)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 消石灰の殺菌効果 / 微生物への影響評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
消石灰の土壌微生物への影響を明らかにするために、飽和消石灰溶液を用いたin vitroの系で、実際の土壌から単離と菌株同定を行なった細菌と真菌を含む様々な微生物に対する殺菌効果について評価した。細菌では菌株によって殺菌効果が異なり、10分の処理で菌数の減少が全く認められないものや1分以内に4 Log以上の減少がみられるものがおり、真菌では60分の処理でも1 Log以上の菌数の減少はみられなかった。また、同様の実験系で土壌を直接用いた微生物群に対する殺菌効果を評価した結果、細菌と真菌は10分の処理で1 Log以上の菌数の減少はみられなかったが、菌叢の変化がみられた。家畜伝染病であるサルモネラ症を想定し、サルモネラ属菌であるSalmonella Typhimurium NBRC 13274を添加した土壌を用いて、in vitroにおける消石灰の殺菌効果を散水量と消石灰濃度を変えて検証した。消石灰を1000 g/ m2散布し、水分量が多い時に最も持続効果が高いことが示された。また、他の消毒剤で同様の評価を行ない、殺菌効果を比較した結果、消石灰消毒が家畜伝染病予防には非常に効果的であることが示された。屋外に消石灰を1回もしくは複数回散布後、表面と5 cm下部土壌の生菌数とpHの変化を経時的に調査した結果、生菌数に差異は認められず、pHは約15ヶ月経過後では1~2の差が認められたが、約30ヶ月後には複数回散布のみ0.5~1程度の差がみられた。複数回散布の表面土壌のCa濃度は約3ヶ月経過後まではどの散布区も高い値を示したが、約20ヶ月経過後は300 g/m2を3回散布したものがコントロールと同程度まで値が低下した。消石灰を複数回散布することによってCaが土壌中に残存しやすいことが示唆された。
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Research Products
(1 results)