2012 Fiscal Year Research-status Report
生物多様性第ニの危機の全国評価-耕作放棄地の拡大に注目して-
Project/Area Number |
24710038
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | National Institute for Agro-Environmental Sciences |
Principal Investigator |
大澤 剛士 独立行政法人農業環境技術研究所, 農業環境インベントリーセンター, 任期付研究員 (40554332)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 耕作放棄地 / レッドデータブック / レッドリスト / 自然史資料 |
Research Abstract |
公開されている「農林水産省2005年農林業センサス都道府県別統計書」を全国分入手し、全国を対象に地域2次メッシュ(約10km四方)ごとの理論的な耕作放棄面積を算出した。算出方法は計画に基づき、農林業センサスの集計単位である行政界を100m単位に分割し、それを2次メッシュに再構成するという方法をとった。得られた2次メッシュ単位の理論的農地面積を、GISによって電子地図データ化した。 全国47都道府県のレッドデータブック、レッドリストを収集した。収集したレッドリストから維管束植物のレコードを抜き出しで一覧表を作成した。なお、最新のリストがインターネット上で公開されているものについてはそれを利用し、旧版のみ公開されているものについては、とりあえず旧版を利用した。冊子体でのみ公開されているものについては、冊子体を入手し、自身で電子化を行った。一部県については冊子体を販売していたので、それを購入した。計画に基づき、35都道府県以上でレッドデータブック、レッドリストにリストされている種を”元”普通種として抽出した。その結果、50種の植物が抽出された。 得られた”元”普通種50種を対象に、環境省生物多様性センターで公開されているデータベースを検索したところ、23種の分布データを入手することができた。これに並行して各都道府県の博物館を訪問し、標本目録や観察記録を借用した。一部館については収蔵庫において標本調査を行った。得られた自然史資料に位置情報を付与して分布データ化することで、環境省から入手できなかった種のレコードや、環境省データの空白を埋めた。この作業は現在も継続中である。 一次解析として作成した耕作放棄地の地図と、その時点までで収集できた”元”普通種の分布データを重ね合わせたところ、両者は重なっていることが確認できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当所予定どおり、耕作放棄地の地図化、レッドデータ、レッドリストの収集、”元”普通種の選定まではほぼ完了させることができた。地図化については特に問題なく作業が進んだが、レッドデータ、レッドリストの収集については複数の都道府県で見直し作業を行っており、かなり古いものしか公開されていない場合があったが、とりあえず本年度は古いものを利用することで全国分を揃えることができた。 自然史資料の収集については、一部前倒しして収集を開始することができた。これは、レッドデータ、レッドリストの収集を目的として博物館等を訪問した際に、一部について標本目録等を入手することができたことによる。また、博物館等を訪問することで既存の観察情報等の情報を多数入手することができた。自然史資料はその所在が不明であったり、インターネット上で検索することができない場合が多々あるため、これも収集を行う上で大きな推進力となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は自然史資料の収集および分布データ化が主となるが、地域の自然史資料を収集する上で地域の博物館等から得られる情報が極めて有用であることがわかったので、レッドデータブック、レッドリスト収集で既に訪問した博物館や、県立ではない博物館にも積極的に訪問し、学芸員やボランティアの方々から情報を得る予定である。 一次解析の結果により、おおむね本研究の仮説が正しいことが示唆されているので、解析や取りまとめ方法については現行の方針で継続する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は自然史資料の収集のため、博物館等を訪問するとともに地域の愛好家らによる自然史資料も、より力を入れて収集する。そのための旅費および購入費が主な用途となる予定である。また、紙媒体のデータも多数存在しているので、それらを電子化するための人件費や、内容次第では外注に出すことも検討する。扱うデータが巨大になってきているので、その扱いを支援するためのパソコン、ストレージ等の機器類も本年度に購入することを検討している。
|
Research Products
(1 results)