2014 Fiscal Year Research-status Report
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24710040
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Research Institution | Center for Environmental Science in Saitama |
Principal Investigator |
濱元 栄起 埼玉県環境科学国際センター, その他部局等, 研究員 (40511978)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地下温度 / 関東平野 / 地下温暖化 / 観測井 / ヒートアイランド / 地球温暖化 / 土地利用 / 高精度温度計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球温暖化によって最近100年間で世界的な平均気温が約0.7℃上昇している。とくに都市部では、ヒートアイランド現象による影響が加わり,高い温度上昇率である。さらに気温だけではなく地下も温暖化していることがわかってきた。このように地下温度が上昇すると地中の微生物環境や水質への悪影響等も懸念される。 本研究では、関東平野中央部を対象として地下温暖化の程度を把握するために、高精度な地下温度計測(分解能0.001K)を実施している。地下温度は一般に時間変化することから、1年ごとに繰り返し温度計測を行いその変化を調べることが有効である。そこで本年度も前年度に引き続き、関東平野の7地点で地下温度計測を実施した。このうち6地点は埼玉県内の地盤沈下観測井(川口井、八潮井、三芳井、熊谷井、和光井、戸田井)で、1地点は東京都心の弥生井(東大本郷キャンパス内)である。このうち戸田井(昨年度設置)と和光井(本年度設置)には観測井内に長期温度計を、観測井近傍には、土壌温度計(戸田井)を設置しモニタリングをおこなっている。昨年度設置した戸田井のデータについては、収集することができた。 以上の観測データのうち川口井、八潮井、三芳井、熊谷井の4地点を対象に解析した結果過去のデータ(2003年)に比べて、最大1Kの温度上昇があることがわかった。このうち三芳井や熊谷井は、他の2地点と比べて温度上昇の程度は高くはないが、150mの深くまで影響が及んでいることが分かった。これは地下水の涵養域に位置しており、地下方向への熱移流による輸送効果を反映しているものと思われる(これまでと異なる視点で明らかにできた)。東京都心の弥生井では深さ50mの深度で、わずかこの1年の間に0.093度も温度が上昇していることが分かった。すなわち高精度な地下温度測定によって、短期間の温度検層データから地下温暖化を把握できることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に地下温度データの取得(温度検層、観測井戸内の長期温度モニタリング、土壌温度モニタリング)を進めており、研究自体も計画通り進んでいる。 ただし、以下の2点の項目については、長期データの取得及び初期モデルを構築後に解析するほうが効率が良いため、次年度に実施することとした。 ①今年度取得した長期温度データ(戸田井)と来年度取得予定のデータ(和光井)は、長期間のデータ取得後に時系列解析することが有効であることから、27年度に解析を実施することととした。 ②数値シミュレーションの実施については、地下水流動も考慮したシミュレーションの初期モデルを構築中であり、次年度にこのモデルを用いて解析予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度に延期した長期温度データの時系列解析及び数値シミュレーションを実施する。 孔内計測に関しては、繰り返し測定が有効であることから4回目の地下温度計測を実施する。特に1回目に測定した地下温度分布や2003年のデータ(本研究で取得しているデータよりも1桁分解能が劣るため参考データ)と比較することで、地下温度分布の時系列的な変化について定量的に検討する。地下温度と土壌温度データとを用いて、土地利用による熱吸収について議論する。簡易的なシミュレーションを行い、地下水流動と地下温度との関係について議論する。
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Causes of Carryover |
海外の学会で成果発表や情報収集を行うにあたり、効果的な発表や情報収集を行うために当初の時期および滞在期間が計画とは異なったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、最終年度であることから特に海外学会や国内の学会で成果発表や関連のセッションに参加し議論予定である。このため研究費はこの目的のために多く使用予定である。
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