2012 Fiscal Year Research-status Report
国際自然保護区の共同管理を対象とした自然保護ガバナンスの発展的研究
Project/Area Number |
24710041
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 俊徳 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特任助教 (30612452)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際自然保護区 / 自然保護ガバナンス / ユネスコMAB計画 / 世界遺産条約、ラムサール条約 / ジオパークネットワーク / 渡り鳥パートナーシップ / ワッデン海、EAAF、PIMPAC |
Research Abstract |
本年は、国際自然保護区(TBPA)の基礎研究に焦点をあて、① 文献収集およびその解析、② ネットワーク型TBPAに関する情報収集、を行った。 まず、①の文献収集およびその解析については、国際自然保護区に関する書籍や論文、一次文献の入手、解析を行い、2012年6月の第38回日本環境学会研究発表会(於別府大学)において、「国際自然保護区の共同管理に関する基礎的研究」として発表した。さらに網羅的な情報収集及び解析によって、「地理的に近接した保護区の総体」という従来のTBPA学説に対して、「地理的に近接してはいないが、同様のテーマを有する保護区のネットワークやパートナーシップ」(ネットワーク型TBPA)にも視野を広げ、文献調査を行った。2013年3月には、ユネスコ本部を訪問し、世界遺産センターをはじめ、TBPAに関係する部署を回り、推薦書や報告書といった一次文献の収集を行った。 次に、②ネットワーク型TBPAでの情報収集、については、文献調査を通じて明らかとなった「ネットワーク型TBPA」が増加している現状を踏まえ、世界遺産やラムサール条約登録湿地、渡り鳥保護ネットワーク、ジオパークネットワークに関連するフォーラムやシンポジウムに参加し、その実態について情報を収集した。 これら基礎調査から、① これまで論じられてきたTBPA学説を総括し、②新たに生じているネットワーク型TBPAの実態に関する情報収集、を遂行することができた。とりわけ、当初、想定していなかったネットワーク型TBPAについては、TBPA研究に新たな理論枠組みを提供することが可能であるとともに、本研究の最終目標である、自然保護ガバナンス論の発展にも有益であると考えている。なお、自然保護ガバナンスの理論面に関する研究として、京都大学における研究会(公共政策研究会等)への参加や専門家への聞取り調査も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、初年度については、文献調査を主として、国際自然保護区の基礎的調査を行うことが目的であったが、2012年6月には、「国際自然保護区の共同管理に関する基礎的研究」として学会発表を行うことが出来た。 さらに、その後の調査において、「地理的に近接した保護区の総体」という従来のTBPA学説に対して、「地理的に近接してはいないが、同様のテーマを有する保護区のネットワークやパートナーシップ」(ネットワーク型TBPA)の存在に着目して、文献収集及び、フォーラムやシンポジウムへの参加を通じた情報収集を行うことができた。 このネットワーク型TBPAについては、先行研究において十分に論じられていない部分であり、今後の現地調査(実証研究)をさらに推進することで、TBPA研究に新たな理論的視座を提供することが可能となると期待している。また、自然保護ガバナンスの発展的研究も促進されると期待される。 本年は、北海道大学から東京大学へと当初想定していなかった異動があったため、研究費の使用計画を変更せざるを得ない面があったが、研究成果としては、当初の計画以上の進展が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究実施計画 一年目に実施した基礎調査及び文献収集を発展させるために実証研究を行う。実証研究では、国際自然保護区(TBPA)を二つのタイプに分類し、それぞれの事例を検証する。一つは、地理的に近接しているTBPAの代表的事例として、ドイツ・オランダ・デンマークの三カ国が共同で設置、管理している干潟「ワッデン海」共同事務局を訪問し、ヒアリング調査を行う。二つ目として、情報共有等を目的とした国際的なパートナーシップの枠組みとして、EAAFP(東アジア・オーストラリア フライウェイ・パートナーシップ)や世界ジオパークネットワーク(GGN、その国内組織として日本ジオパークネットワーク)などに着目し、それぞれの事務局や登録地を訪問し、ヒアリング調査を行う。ヒアリングでは、自然保護ガバナンス論を援用し、法制度、事務局、参加機会、情報共有、科学的知見、合意形成枠組みに着目しながら、それぞれの現状と課題を検証する。また、国内レベルにおいても、行政の境界を越えた協力関係が構築されている事例が多数みられるため、これらも対象とする。 平成26年度の研究実施計画 一年目の基礎研究、二年目の実証研究を踏まえ、三年目は追跡調査及び成果発表に主眼を置く。成果発表の手法としては、研究会やシンポジウム、学会での発表を行い、他の研究者からフィードバックを得たうえで、論文にまとめる。発表および論文投稿は、国内で著名な「環境経済・政策学会」やElsevier社のNature Conservation、国際会議、図書等を想定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
① 旅費 次年度は、現地調査として、ワッデン海共同事務局(ウィルヘルムスハーフェン)、EAAFP事務局(ソウル)、日本ジオパーク全国大会(隠岐)、ユネスコ本部(パリ)などへの旅費として、およそ80万円ほどを予定している。また、国際学会や研究会発表の旅費、参加費としても40万円程度を予定している。これらは、前年度使用予定であった予算から40万円程度の繰り越しが発生したことで可能となったものである。 ② 物品費 図書や論文については、初年度に集中的に購入することができたため、追加で購入する予算としては、当初予定より少ない10万円程度を見込んでいる。その他、突発的に必要となるであろう物品として10万円ほどを予定している。 ③ 人件費、謝金、その他 当初予定通り、外国語翻訳や論文投稿料、抜刷代金、複写費等で計15万円程度を想定している。
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