2013 Fiscal Year Research-status Report
エコロジカル・タイム・ロス指標の開発とESDでの活用
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24710043
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
後藤 忍 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (70334000)
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Keywords | ESD / 公平性 / 批判力 / 原子力 / 物質フロー / 環境指標 |
Research Abstract |
本研究で開発を目指す「エコロジカル・タイム・ロス指標」について、関連する指標の調査と概念整理を引き続き行った。また、具体事例として、東日本大震災および福島第一原発事故によって甚大な影響を受けた福島県を対象に、基礎となる物質フローの推計を行った。福島第一原発事故前の2008年と、事故が起きた2011年度の物質フローを比較した。その結果、「入口」側の指標では、例えば「総物質投入量」が約4,237万トンから約2,694万トンへ4割程度減少したことなどが確認された。一方、「出口」側の指標では、「最終処分量」は約91万トンから約63万トンへ3割程度減少したものの、除染に伴う土壌や汚染水、廃炉に伴う廃棄物等を含めた「保管・残り」の量は約3,173万トンにのぼり、総物質投入量をも上回る規模で廃棄物が発生したと見積もられた。 本研究課題におけるもう一つの大きなテーマである「持続可能な発展のための教育」(ESD)に関しては、日本とドイツを対象に、国の省庁によって作成された、原子力に関する副読本を取り上げ、その記述における公平性の特徴を指摘し、論文を発表した。ESD事業の教材として認定されているドイツの副読本では、原発の是非をめぐる賛否両論を様式上も公平に扱うなど、公平性を確保し、判断力を育むための工夫が見られる点が明らかとなった。 また、日本の原子力に関する副読本については、テキストマイニングと感性解析を行って、公平性に関する特徴を把握した。文部科学省と経済産業省資源エネルギー庁が2010年に発行した副読本2冊と、文部科学省が2011年に発行した副読本3冊を取り上げて分析を行い、その結果を2013年12月20~21日にフランス・パリで開催されたThe MacroTrend Conferencesにて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大きく二つの研究目的のうち、「1.エコロジカル・タイム・ロス指標の開発」については、具体事例として福島県を対象とした物質フローの推計を行い、環境指標によって原発事故による影響を把握することができたが、その限界も明らかになっており、指標の枠組みの構築はまだ完了していない。 もう一つの「2.ESDでの活用」については、ESDで重要とされる「公平性」や「批判力の育成」を中心に、日本とドイツの教材について特性を分析し、公教育の教材に求められる要件を把握することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
「1.エコロジカル・タイム・ロス指標の開発」については、物量単位から時間単位へ換算する指標の枠組みを構築して、試算結果を示したい。 「2.ESDでの活用」については、2014年が「ESDの10年」(Decade of ESD: DESD)の最終年であり、日本でも国際会議が開催されるので、これまでの研究成果や世界の動向を踏まえ、新たな教材開発や教育実践を行いたい。
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Research Products
(4 results)