2013 Fiscal Year Research-status Report
エージェントベースモデルによる統合的なエネルギー需給・資源の将来シミュレーション
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24710046
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
松本 健一 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教 (00534570)
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Keywords | エージェントベースモデル / エネルギー資源 / 非在来型資源 / エネルギー需給 / シナリオ分析 / コストカーブ |
Research Abstract |
本研究の目的は、エージェントベースモデルであるACEGES(Agent-based Computational Economics of the Global Energy System)モデルを用いて、地球規模のエネルギー需給および、資源量のシミュレーション分析を行うことである。 平成25年度は、まず初めに平成24年度に実施した研究の継続として、非在来型エネルギー資源の分析の詳細化を行った。近年、在来型エネルギー資源の枯渇にともない、非在来型資源(例えば、原油代替としてのオイルサンドや超重質油)の重要性が増してきている。そのような非在来型資源も在来型資源と同様に偏在性が見られる。そのような中で、現状の各国の資源埋蔵量を踏まえて、どの国・地域が将来のエネルギー資源市場に影響力を持つ可能性があるのかを把握することは重要である。そこで、非在来型資源を考慮する場合としない場合をACEGESモデルによりシミュレーションし、その結果を比較することにより、その影響を明らかにした。平成25年度は、特に国レベルに着目した解析を実施した。 次に、ACEGESモデルへのコスト構造の組み込みを実施した。これは、エネルギー資源の統合的分析のため、また、上記の分析の中で、在来型資源と非在来型資源のコスト構造の違い(合わせてさまざまな非在来型資源のコスト構造の違い)をより正確に考慮するためのものである。そこで、既存研究等のレビューより石油・天然ガスそれぞれのコストカーブを構築し、モデルに組み込んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書における平成25年度の研究計画は、(1)統合的分析と(2)各国のエネルギー需給の意思決定の精緻化、の2点であった。 (1)に関しては、昨年度までに構築した在来型資源に関する石油と天然ガスに関するモデル(一部、非在来型資源も含む)に、今年度に精緻化した非在来型資源のモジュールを統合し、在来型・非在来型資源を合わせた両エネルギー資源を統合した分析を開始した。コストカーブを含めた統合的分析については現在取り組みを進めている段階であるが、簡易な統合的分析については進展が見られる。 (2)に関しては、エネルギー資源の供給と需要に関する文献をレビューすることにより、モデルの構造やパラメータを改良した(例えば、資源採掘のピークと減退に関する点)。一方で、各国の将来のエネルギーおよび関連する政策や技術については、文献レビューを開始した段階であり、モデルへの考慮はこれからである。 以上より、研究に着手した段階のものも含まれているが、一定の研究成果もあげられていることから、おおむね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は本研究課題の最終年である。研究目的を達成するために、年度計画に示した研究に取り組む。 まずは、平成25年度の継続として、現在取り組んでいるサブテーマ2「各国のエネルギー需給の意思決定の精緻化」を完成させる。特に、エネルギーおよび関連する政策・技術の動向の調査の継続とそのモデル化である。また、供給側のエネルギー戦略についも同様に調査し、モデル化する。 そして、構築したモデルを用いて、サブテーマ3の2回目である「個別モデルの結合による統合的なエネルギー資源の分析」を以下の手順で実施する。 サブテーマ3の2回目は、サブテーマ1・2(一部を除いて平成24~25年度に実施)を踏まえて、(a)個別モデルの再結合(サブテーマ3(1)で構築した手法を応用)、(b)(a)を用いたエネルギー資源の統合的なシミュレーション分析と分析結果の統計的検証、により実現する。 上記の研究を遂行するため、研究推進に必要な統計データなどの整備や調査を引き続き進めていく。また、8月には2~3週間の予定でイギリス・ロンドンのESCP Europe Londonを訪問する。ここでは、研究協力をしているVlasios Voudouris氏(旧所属:ロンドンメトロポリタン大学)らとの打ち合わせや研究情報の収集などを行う。 また、これまでの研究成果の国内外の学会発表や論文投稿を予定している。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Exploring the Production of Natural Gas through the Lenses of the ACEGES Model2014
Author(s)
Voudouris, V., Matsumoto, K., Sedgwick, J., Rigby, R., Stasinopoulos, D., Jefferson, M.
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Journal Title
Energy Policy
Volume: 64
Pages: 124-133
DOI
Peer Reviewed
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