2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24710047
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
林 宰司 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (20347248)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リサイクル / 再生資源貿易 |
Outline of Annual Research Achievements |
日中間の再生資源貿易について、両国の制度の違いにより生じる問題を検討した。 これまでのところ、日中の法制度の比較、広東省内のリサイクル工業団地の企業調査、及び、および貿易統計税関統計により、以下のことがわかった。 (1)中国に再生資源を輸出している日本企業については、日本国内に供給している再生資源の品質と中国に輸出している再生資源の品質に差があり、中国で用いているリサイクルの方法や技術、リサイクル品の品質については、日本国内で用いているものよりも安価で低廉なものを用いていることがわかった。 (2)中国の再生資源輸入の許認可制度は、国外からの輸入よりも香港経由のものの方が認可されやすいため、輸入される再生資源のそのほとんどが、香港経由のものであることが把握できた。そのため、中国国内でリサイクル企業の一大集積地となっている広東省に流入する再生資源がどこの国から輸入されたものかわかりにくくなっている。 (3)中国政府は環境負荷を発生させやすいリサイクル企業を、工業団地内に誘致し、優遇政策を取っている。工業団地内では、排水の浄化処理については集合処理設備を設置しており環境負荷を低減させる施策を取っている一方、工業団地にリサイクル企業が集積することによって、その地域で大気汚染などの環境負荷が集積している可能性が高い。これについては、リサイクル工業団地内外のリサイクル企業の環境負荷発生のデータを比較検討する必要がある。国外の企業が関係する合弁企業がリサイクル工業団地に多く立地していることを考えると、中国のリサイクル工業団地が汚染逃避地となり、公害輸出が起きている可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初は、広東省のリサイクル工業団地内の企業をサンプリングし、調査を行う予定であったが、中国政府の政権交代により、大規模な企業調査が認められなくなった。そのため、調査法の変更を余儀なくされ、代表的な企業数件を調査する方向で、現地の研究協力機関と調整した。
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Strategy for Future Research Activity |
広東省のリサイクル工業団地に立地する代表的な企業数件(中国企業単独資本の企業と、国外の企業と合弁の企業)の調査を行う。
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Causes of Carryover |
中国政府の政権交代により、研究計画時には研究協力機関より内諾を得ていた、中国のリサイクル工業団地に立地する企業のサンプリング調査の許可が下りなかったため、研究方法の変更を余儀なくされた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
リサイクル工業団地内の代表的な企業(中国資本単独の企業、および国外資本との合弁企業)を数件抽出し、聞き取り調査を行う方法に変更し、その調査のための随行員、通訳の雇用のために支出する。また、再生資源の貿易量把握のための、統計書購入に充当する。
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