2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24710049
|
Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
泉 留維 専修大学, 経済学部, 教授 (80384668)
|
Keywords | コモンズ / フットパス / アクセス権 / 歩く権利 / 里道 / 国際情報交換 / イギリス:韓国 |
Research Abstract |
フットパスは、里山などと同じく、地域の共用資源、ローカル・コモンズである。その資源を有効に用いることで、個人や社会においてそれぞれ便益をもたらす。例えば社会に対しては、自然環境の保全に寄与する可能性があげられる。それは、特にイギリスなどで制定されている「アクセス権」と関係する。公衆が常にフットパスや入会地等にアクセスできる権利の存在により、排他的な所有権が崩され、所有者の一方的な開発行為を止めることができ、また公衆は自然環境に触れる機会が増すことになる。本研究は、日本およびイギリスのフットパスの現状を明らかにするとともに、アクセス権が自然環境保全にどのような影響を及ぼしうるのかなどを考察した。 2012年度は、日本国内のフットパスの現状を把握するとともに、「2つの軸」(フットパス周囲の地権者の数、地方自治体の積極性)と「4種のステークホルダー」(地方自治体、市民団体、地権者、訪問者)が織りなす関係構造に着目して、その実態を明らかにしようとした。最終年度である2013年度は、前年度の調査で不十分であった部分の追加調査(電話及びメールでの聞き取り)を行い、イングランドのフットパスについては現地調査を実施した。調査は主にロンドンおよびコッツウォルズでのフットパスの管理および利用実態について行った。2年間の研究調査の結果、2点を明らかにすることができた。1点目は、日本国内には少なくともフットパスは70あり、総延長は2,961kmとなっている。イングランドの総延長18万8,700kmには遠く及ばないが、この10年間での進捗は目を見張るものがある。2点目は、日本のフットパスは、イングランドのようなアクセス権が存在しないこともあり、その設置や整備には民間アクターの積極性が欠かせない一方で、土地所有者との調整が困難を極めているということである。これらの結果は、論文やHPを作成して公表した。
|
Research Products
(4 results)