2016 Fiscal Year Annual Research Report
The Futurability of Rural China after the"Grain for Green(Tui Geng Huan Lin)"Project
Project/Area Number |
24710055
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
松永 光平 立命館大学, 文学部, 准教授 (80548214)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / 中国 / アジア地域研究 / アジア食料安全保障 / 未来可能性 / 農村 / 代替産業 / 退耕還林 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の成果の一部である、和文の単著学術書『中国の水土流失:史的展開と現代中国における転換点(現代中国地域研究叢書)』(勁草書房、2013年)の全文を、中国語に翻訳した。同時に中国の出版社との出版交渉に入った。 本課題の申請時には、中国語の報告書と英語の論文との執筆を計画していたが、以下の二つの理由から、上記の和書を中国語や英語で翻訳出版したほうが、より多くの読者に研究成果を還元できると考えた。第一に、同書が、本課題の成果を含む既存の業績として、代表的であることがある。本課題のターゲットである、ポスト「退耕還林」の農業・農村政策についても見通しを論じており、研究背景も含めた本課題にかかわる概説書として、完成度が高い。具体的には、同書は、耕地拡大による森林破壊、さらにその報いとしての水土流失の激化を特徴の一つとする中国史を概観した上で(水土流失の史的展開)、2009年からはじまった退耕還林政策が、森林を回復させるために耕地縮小もやむなしとする画期(現代中国における転換点)であると述べる一方、退耕還林政策終了後(ポスト「退耕還林」)の食料生産維持に対して警鐘を鳴らしている。第二に、2013年度に同書を出版した後、中国を含む国内外の方から好評をいただいたり、研究内容に関して詳細を知りたいという問い合わせを受けたりし、その過程で、読者として想定していなかった、欧米圏の研究者とのコネクションもできたことである。その研究者は、「日本語が読めないのでより詳しいことを教えてほしい」とのことであった。 本年度は最終年度であるが、費用の関係もあり、まず、上記書籍の中国語翻訳を完了した。中国の出版社との出版交渉は継続している。今後、英語への翻訳や、イギリス・アメリカなどの出版社との出版交渉、そして各種助成金への申請による出版費用の確保にあたりたいと考えている。
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