2013 Fiscal Year Research-status Report
抗がん剤によるDNA二本鎖切断の修復経路操作と細胞死誘導の解析
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24710061
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
逆井 良 金沢医科大学, 医学部, 助教 (10549950)
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Keywords | DNA二本鎖切断 / 非相同末端連結 / 相同組換え |
Research Abstract |
放射線や抗がん剤によるDNA二本鎖切断修復(DSB)は、非相同末端連結(NHEJ)と相同組換え(HR)の二経路で修復される事が知られ ている。申請者らは53BP1の解離におけるヒストンメチル化の影響とRPAのリン酸化に注目して、DNA複製を介したDSBに対する修復経路 選択と細胞死との関連を明らかにする。また、NHEJ因子であるDNA-PKの活性化にも注目し、DNA複製とリンクしたDSBにおけるDNA-PK活性化因子についても明らかにする。 53BP1の解離制御因子についてはsiRNAライブラリーを用いてヒストン脱メチル化因子に絞って探索を行う。スクリーニングの評価系構築のため、53BP1の核内fociおよびHR経路の 責任因子であるRad51の核内fociについて、経時変化を解析したが、53BP1の解離を解析する為には、foci形成による観察では不十分と判断し、53BP1の解離異常の結果、DNA末端の削り込みが異常となる仮説を示す事がより重要である事から、DNAの削り込みマーカーである、RPAタンパク質のリン酸化でスクリーニングを行った。現在までに数個の遺伝子において影響が認められており、特にPHF8について検証を進めている。 また、DNA-PKの活性化がユビキチンープロテアソーム系に依存している事から、ユビキチン化酵素に注目し、E2ユビキチン結合酵素に対するsiRNAライブラリーでDNA-PK活性化に対するスクリーニングを行った。その結果、UBE2D3がDNA複製とリンクしたDSB時にのみ、DNA-PK活性化に必要である事を示唆するデータを得ている。現在は、UBE2D3によるDNA-PK活性化メカニズムの解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒストン脱メチル化酵素(KDM)に対する検討を行うための評価系の選定に時間がかかっていた。また、KDMのノックダウンによる影響が劇的なものではないため、結果の評価やその後の進展に時間を要している。一方、DNA-PK活性化に注目したアプローチでは、目的とするDNA損傷構造に特異的な活性化機構の存在、および、関与するユビキチン化酵素の特定まで進める事が出来ており、おおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
KDMによる53BP1解離制御については、候補因子としてPHF8が上がって来ており、PHF8のDSB応答への関与および53BP1制御を介した修復経路選択への関与について、解析を進めて行く。また、DNA-PK活性化因子UBE2D3については、そのパートナーE3酵素およびユビキチン化の基質も不明である為、両者の探索を続ける他、UBE2D3によるDNA-PK以外のDSB応答への関与についても解析を行って行く。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
スクリーニングが実質的に動き出したのは当該年度においてであり、成果としては得られているため進捗はしているが、スクリーニングで得られた標的因子に対する解析はこれからの課題として残されている。その為、機能解析が十分に進められておらず、次年度に本格化する事から、当該年度の使用額が予定よりも減少し、次年度に使用する事となった。 スクリニーングで得られた2因子に対し、DSBに対する細胞応答への影響を解析する。PHF8に関しては主に細胞生物学的、UBE2D3に関しては主に生化学的手法で、それぞれ53BP1およびDNA-PKを主たる解析対象として研究を進める。さらに、機能的結合因子の同定の為のプロテオーム解析も考えており、上記実験に関する消耗品および質量分析によるプロテオーム解析に使用する予定である。
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