2014 Fiscal Year Annual Research Report
放射線照射後の染色体転座形成および形成抑制の分子機構の解明
Project/Area Number |
24710063
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山内 基弘 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (60437910)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 染色体転座 / 放射線 / DNA二本鎖切断 / Ku80 / DNA-PKcs / ATM / 53BP1 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究計画は「MMEJ関連因子および53BP1が「転座形成分子経路」を構成していることの証明」および「ATMおよびDNA-PKがこの「転座形成分子経路」を抑制していることの証明」であった。転座は2本の染色体にできたDNA二本鎖切断(DSB)が連結することによって形成されるため、2個のDSBが動いて会合することが転座形成の必要条件となる。本年度は53BP1の核内フォーカスをDSBの指標として、MMEJ関連因子やATM, DNA-PKのDSBの会合に対する影響を調べた。まずMMEJの主要な因子であるMRE11あるいはCtIPをsiRNAでノックダウンした細胞(正常ヒト線維芽細胞BJ-hTERT)でガンマ線照射後のDSBの会合を経時的に調べた結果、コントロールと差は見られなかった。これはMRE11およびCtIPがDSB会合には影響しないことを示す。次にATMを欠損するヒト線維芽細胞AT5BI-hTERTを用いてDSB会合頻度を調べた結果、ガンマ線照射後どのタイムポイント(0.5, 2, 4, 8時間後)においてもコントロール細胞と比べて会合しているDSBの頻度が高いことが分かった。またDNA-PKの触媒サブユニットであるDNA-PKcsを欠損するマウス胎児線維芽細胞においても同様の検討を行った結果、照射4-8時間後におけるDSB会合頻度がDNA-PKcs欠損細胞で上昇していることが分かった。これらの結果は、「DSB会合」という転座形成の重要なステップをATMおよびDNA-PKcsが抑制していることを示す。また私は前回の科研費の研究(若手研究B、課題番号21710061)でATMやDNA-PKcsの活性を阻害すると放射線照射後の転座頻度が上昇することを見つけたが、本年度得られた実験結果はこの現象をうまく説明できる。
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Research Products
(4 results)