2014 Fiscal Year Annual Research Report
胎児期被ばくマウスに生じる染色体異常の組織による違いの解明
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24710067
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Research Institution | Radiation Effects Research Foundation |
Principal Investigator |
濱崎 幹也 公益財団法人放射線影響研究所, 遺伝学部, 研究員 (80443597)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 放射線 / 胎児期被ばく / 染色体異常 / 甲状腺上皮細胞 / 造血幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
胎内被ばく影響に関して、胎内原爆被爆者のTリンパ球や胎児期被ばくマウスの造血細胞では、染色体異常(転座)が明瞭な線量効果を示す母親と異なりほとんど観察されない一方で、胎児期に被ばくしたラット乳腺上皮細胞では被ばくの影響が母親と同程度残っていることをこれまでに報告してきた。本研究で新たに行ったマウス甲状腺上皮細胞の胎児被ばく実験(妊娠15.5日目の照射)では、胎児期に2Gy照射されたマウス(F群)では解析した1155細胞中30個、以下同様に、2Gy照射された母親(M群)では1244細胞中43個、非照射コントロールマウス(C群)では1007細胞中0個の転座を検出した。統計解析の結果、転座頻度はそれぞれF群0.0253、M群0.0336、C群0.001となり、ラット乳腺上皮細胞の結果と類似していた。それゆえに胎児被ばくの影響が造血組織と非造血組織とで異なる可能性が示唆された。また、胎児への照射時期を変えた実験(妊娠6.5日目、器官形成期前)の結果、マウス甲状腺F群の転座頻度は0.0058(502細胞中3個)となり、15.5日照射の結果と比較して有意に低く、マウス甲状腺では器官形成期前後で胎児の放射線感受性が大きく変わることも示唆された。 さらに平成26年度、マウス造血細胞において胎児と成体の放射線感受性の違いを調査するために、造血幹(前駆)細胞集団を用いて遺伝子発現レベルを比較する実験を予備的に行った。その結果、DNA修復、細胞周期、アポトーシスに関連した13遺伝子のほとんどで成体由来造血幹(前駆)細胞集団の方が胎児由来のものより発現量が約2倍高く、その中でも抗アポトーシス性タンパク質であるBcl2の発現レベルは10倍以上高かった。このことから胎児と成体マウスの間の造血幹(前駆)細胞における放射線感受性の違いにアポトーシスが関連している可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)