2013 Fiscal Year Annual Research Report
環境化学物質の脱ヨウ素化酵素の阻害による新たな甲状腺ホルモン攪乱作用の解明
Project/Area Number |
24710071
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
清水 良 広島国際大学, 薬学部, 助教 (00570491)
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Keywords | 脱ヨウ素化酵素 / 甲状腺ホルモン / 内分泌かく乱化学物質 / ハロゲン化合物 |
Research Abstract |
甲状腺ホルモンの代謝に関与する脱ヨウ素化酵素は、ハロゲン含有環境化学物質によって阻害され、その機能がかく乱される可能性があるが、この点に着目した研究は未だ行われていない。本研究では、PCB、臭素化難燃剤、医薬品、動物用駆虫薬、農薬、着色料などの多種多様なハロゲン含有環境化学物質を取り上げ、これら化学物質とその代謝物の脱ヨウ素化酵素活性の阻害作用を指標とした甲状腺ホルモンかく乱作用のリスク評価を行うことで、「甲状腺ホルモン代謝系のかく乱」という新たな甲状腺ホルモンかく乱作用の解明を目指した。本研究では脱ヨウ素化酵素の一種であるヨードチロシン脱ヨウ素化酵素(IYD)を過剰発現させたHEK-293T細胞のミクロソーム画分を用い、各種ハロゲン化合物のIYD活性阻害作用を評価した。その結果、今回用いた44種の被検物質のうち、IYD活性に対する阻害作用は22種で認められ、これらはすべて芳香環に水酸基およびハロゲン基が結合した部分構造を有していた。その阻害活性は、着色料であるrose bengal、erythrosine Bおよびphloxine Bが、他のIYD阻害物質と比較して顕著に高く、高尿酸血症治療薬であるbenzbromarone、殺菌剤であるtriclosan、PCBの水酸化代謝物である4-OH-2',3,4',5,6'-PCB、PBDEの水酸化代謝物である4'-OH-BDE-17、4-OH-BDE-42、4'-OH-BDE-49、4-OH-BDE-90などが、比較的強いIYD活性に対する阻害作用を示した。以上の結果から、化学物質のIYD活性に対する阻害作用発現の構造的要因として、芳香環への水酸基およびハロゲン基の結合が必須であることが考えられた。このようなハロゲン含有環境化学物質は、IYDの阻害を介して甲状腺ホルモンの代謝系に影響を及ぼしていることが懸念される。
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Research Products
(12 results)