2012 Fiscal Year Research-status Report
鉄粉による大腸菌の殺菌・不活化:フェントン反応の律速段階に着目した効果の促進
Project/Area Number |
24710078
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
鈴木 祐麻 山口大学, 理工学研究科, 助教 (00577489)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 細菌の殺菌・不活化 / 太陽光殺菌 / クエン酸 / 鉄粉 / フォトフェントン反応 |
Research Abstract |
今年度の研究実績は以下のようにまとめられる。 【① 紫外線、クエン酸、および鉄粉を単独あるいは組み合わせて用いた際の大腸菌・大腸菌群の処理効率(バッチ実験)】バッチ実験を行った結果、鉄粉(1 g/L)とクエン酸(10 mg/L)を添加した処理原水に波長365nmの紫外線を照射(594 mJ/cm2)することで、約90 %の大腸菌および大腸菌群が処理された。また、鉄粉とクエン酸溶液を少量の処理原液と最初に混ぜてからこれらの混合液を処理原水に加えることで二価鉄イオンがより効果的に溶出し、その結果、594 mJ/cm2の積算照射量で約99 %の大腸菌と大腸菌群が処理された。また、波長365nmの紫外線、鉄粉、そしてクエン酸のいずれを欠いても高い処理効率は得られなかった。これらのことから、これら3つが共存することでフォトフェントン反応に類似した反応が連続的に進行し、その結果、大腸菌および大腸菌群の処理が促進されることが分かった。 【② 実証実験】晴れた日と曇った日に実証実験を行った結果、鉄粉とレモン汁を添加することで、大腸菌と大腸菌群の処理速度が従来のSODISに比べて2倍から5倍促進された。また、従来のSODIS処理の場合は処理効率が天候に大きく依存するのに対し、鉄粉とレモン汁を添加したSODIS処理の場合は天候依存性が小さかった。 これら実験結果を通して、本研究で提案する手法が震災直後の緊急上水処理手段などとして有効であることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大腸菌および大腸菌群の定量に用いた培地(CHROMagarTM ECC培地)の取り扱いにやや苦労して前半の2か月程度はなかなか結果が出せなかったものの、後半は効率よく実験データを蓄積することができた。その結果、当初の計画通りに研究が進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の検討課題としては、詳細な殺菌・不活化メカニズムの解明はもちろんのこと、今年度では検討しなかった鉄粉とレモン汁の添加量が処理効率に及ぼす影響、冬の日や雨の日における処理効果の確認、三価鉄イオンの光還元反応に大きな影響を及ぼすことが報告されているフミン質の種類および濃度を代表とする処理原水の水質が処理効果に与える影響、そして本研究で対象とした大腸菌および大腸菌群より強い耐性を持つ他の病原性微生物・ウイルスに対する処理効果の検討などが挙げられる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|