2014 Fiscal Year Annual Research Report
浄化槽放流水の遺伝子毒性の解明と塩素処理等による削減効果
Project/Area Number |
24710079
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
久保 隆 長崎大学, 産学官連携戦略本部, 助教 (40397089)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 遺伝子毒性 / 浄化槽 / umu試験 / バイオアッセイ / 固相抽出 / 塩素処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、放流水の遺伝子毒性の削減を試みた。文献によれば、下水処理場で処理された排水は、亜硫酸ナトリウムの添加、あるいはアンモニア性窒素濃度が低い条件での次亜塩素酸ナトリウムの添加によって、遺伝子毒性が削減されると報告されている。そこで、単独浄化槽の処理水に亜硫酸ナトリウム等、5種の還元剤を添加して遺伝子毒性の増減を調べたが、予想に反して大きな削減効果は得られなかった。また、次亜塩素酸ナトリウムを添加した場合、アンモニア性窒素濃度にかかわらず遺伝子毒性が増大した。文献による知見との違いについては更なる検討が必要だが、下水処理場に流入するし尿以外の物質が影響している可能性がある。次に、今後の削減対策に資する知見を得るため、試料水を酸塩基特性で分画し、umu試験に供した。その結果、サンプルよって強い遺伝子毒性を示す物質の傾向が異なることが分かった。今後、原因物質の特定が出来れば、削減対策に繋がると考えられる。 研究期間全体としての成果は以下の通りである。まず、浄化槽放流水の遺伝子毒性を試験するために試料水の前処理方法を検討し、pH 2に調整した試料水をシリカ系あるいはポリスチレン系の吸着剤に通水すれば、遺伝子毒性を最も強く検出できることを見出した。この方法を用いて、モデル地域の家庭排水の遺伝子毒性を調べた結果、各地域の遺伝子毒性の強さは、合併浄化槽>単独浄化槽≒コミュニティプラント≫汲み取り槽の順となった。試験した放流水の遺伝子毒性強度は、未検出~29ng-4NQO/mlとなり、処理方式によって10倍以上も異なること、および一般的な日本の水道水の値よりも数十倍~百倍程度高いことを初めて明らかにした。最終年度には各種の薬剤を用いて遺伝子毒性の削減を試みたが、削減効果は予想に反するものであった。薬剤との反応メカニズム等については今後の更なる研究が期待される。
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Research Products
(1 results)