2013 Fiscal Year Research-status Report
未利用廃熱を活用した溶融高炉スラグの高付加価値化技術
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24710086
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
和嶋 隆昌 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00380808)
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Keywords | 未利用廃熱利用 / アルカリ溶融反応 / 溶融高炉スラグ / 高付加価値化 / 冷却過程 / 高反応性前駆体 / ハイドロカルマイト / リン除去能 |
Research Abstract |
鉄鋼生産の際には溶融高炉スラグが副産しており、そのほとんどは冷却され水砕スラグ、徐冷スラグとして土木資材などに利用されているが、土木資材を用いる建設投資は減少傾向にあるため、新たな有効利用法の開発が望まれている。一方で、日本で高炉溶融スラグの排出に伴う廃熱は、日本全体の石炭使用量の約2%に相当するが、熱回収はほとんど行われておらず、有効利用が求められている。本研究は、アルカリ溶融処理に溶融高炉スラグの未利用廃熱を活用することでエネルギーの投入なしで高機能素材を合成可能な高反応性前駆体をえる溶融処理法を開発し、新たなスラグの高付加価値化技術を確立することを目的とする。そのため、まず、白金坩堝に高炉スラグを入れ1500oCに加熱することで溶融高炉スラグを作成し冷却過程の観察と水酸化ナトリウム添加による冷却挙動の変化を調べた。1500oCに電気炉で加熱した溶融高炉スラグを取り出し水酸化ナトリウムを添加した結果、一部が水酸化ナトリウムと反応し高反応性前駆体となった。また、添加する温度を変えることで高反応性前駆体となる量が異なり、添加温度が1500oC付近から低下するにつれて増加する傾向が見られた。得られた高反応性前駆体を室温にて蒸留水中で24時間撹拌した結果、ハイドロカルマイトを含む生成物が生成した。生成物は原料である高炉スラグの水砕スラグ、徐冷スラグや試薬の水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウムに比べて高いリン除去能を有することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
再現性のある温度計測や観察・評価手法を確立するのに時間がかかったが、溶融高炉スラグに水酸化ナトリウムを添加するのみで高反応性前駆体が作成できること、高反応性前駆体からリン除去能をもつハイドロカルマイト含有生成物が得られることが確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
高温溶融スラグをすべて高反応性前駆体に転換するための添加量、添加温度等の最適な作成条件を明らかにする。また、作成した高反応性前駆体から高いリン除去能を持つハイドロカルマイト含有生成物の作成を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた学会に他の予算で参加できたため。 最終年度で研究成果報告を行う機会が多くなるため、その参加費・旅費の支払いに当てる。
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Research Products
(2 results)