2013 Fiscal Year Annual Research Report
コヒーレントX線を用いたナノ結晶の並進・回転運動の同時計測
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24710092
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
篠原 佑也 東京大学, 新領域創成科学研究科, 助教 (60451861)
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Keywords | X線光子相関分光法 / ダイナミクス / コヒーレントX線 |
Research Abstract |
本研究課題では、媒質に加えたナノ粒子の運動性の計測を通して、その媒質のミクロスコピックな粘弾性・力学特性を理解することを目的としている。2012年度に SPring-8 BL40XU で得られる準単色・準コヒーレントな大強度X線を用いて、ナノ結晶の回転運動・並進運動を区別して同時に測定することに成功した。本年度は、多量のデータを処理するためのデータ処理系の開発、および、本手法のナノ結晶充填ゴムへの応用を目的として研究を実施した。 回転運動の観察には、高角散乱領域における個別の回折斑点の動きの追跡を用いている(回折X線追跡法)。2012年度は手動で回折斑点の動きを追跡していたが、データ処理に膨大な時間を要していた。2013年度に回折斑点の動きを自動で追跡するソフトウェアを開発し、回転運動観察の効率を大幅に向上させることに成功した。さらに検出系として新規にピクセルアレイ型検出器を導入し、より微弱な回折斑点であっても測定できるようになった。 並進運動の観察には、スペックル像の強度揺らぎの時間変化の相関解析を用いている(X線光子相関分光法)。X線光子相関分光法では、多量の2次元スペックル像の強度相関を高速に計算する必要がある。2013年度にこの計算を並列処理などを用いて高速化し、これまでは測定と同程度以上要していたデータ処理にかかる時間を、測定より短くすることに成功した。これによって、放射光施設においてデータ処理の成否を確認できるようになった。 ナノ結晶充填ゴムに本手法を応用した結果、これまでにナノコンポジット系のダイナミクス解析で議論が分かれていた2つの解釈のうち、片方の解釈を支持する結果が得られ、本手法が媒質中でのミクロなナノ粒子の運動性を解析する上で有用であることを示すことができた。
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Research Products
(7 results)