2013 Fiscal Year Annual Research Report
大気中でのエアロゾル表面解析を実現するイオン顕微分光法の開発
Project/Area Number |
24710097
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
加田 渉 群馬大学, 理工学研究院, 助教 (60589117)
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Keywords | イオンビーム誘起発光 / エアロゾル / イオンマイクロビーム / PIXE / 化学形態分析 / イメージング / 共益焦点系 |
Research Abstract |
大気中微粒子(エアロゾル)表面の化合物分布の可視化を目的として、イオンマイクロビーム誘起発光顕微分光分析(ILUMIS)装置の開発を行った。計画最終年度である今年度は、特定化合物や大気中微粒子を利用した標準試料や、実大気から捕集された微粒子試料を利用した分析装置の応用を図った。昨年度までに開発された顕微分光光学系と多波長同時分光装置を用いることで、数マイクロメートル程度のエアロゾル試料から発生するイオン誘起発光(IL)を分光分析可能とした。エアロゾルから発生するILは、同時分析を行ったPIXE法の測定対象である特性X線と同程度の時間で分析可能であることも実験的に確認された。また、微粒子中の化合物の混合状態により、エアロゾルから取得されるILスペクトル中には複数の異なるピークが混在することが確認された。 このようなILスペクトルを解析するために、既存の発光データベースとデータ解析ソフトウェアを組み合わせることで専用のデータ解析手法を開発した。一連の研究開発により、微小試料からの微弱なイオン誘起発光(IL)について、ピーク分離を行いながら分光分析・イメージングすることが可能となった。分離された各ILピークの発光波長に対応付けを行うことで、粒子中に含まれる化合物の同定が可能となった。一部の微粒子表面からは, NADHやリボフラビンといった特定の有機物に固有の波長を持つILが局在することが観測された。これらの有機物は、微粒子中に微生物が存在した痕跡を示す代表的な化合物であることから、本実験結果はエアロゾル表面において有機物が固着した事実を示唆する可能性がある。本成果について、イオンビームを用いた分析技術に関する国際会議IBA2013 に於いて発表した。
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Research Products
(4 results)