2013 Fiscal Year Research-status Report
大電流重イオン加速のための、プラズマ輸送路による加速器への入射プラズマ制御の研究
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24710098
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
柏木 啓次 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 高崎量子応用研究所 放射線高度利用施設部, 研究員 (30391303)
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Keywords | 直接プラズマ入射法 / レーザーイオン源 / ソレノイドコイル / プラズマ長パルス化 |
Research Abstract |
加速器とレーザーイオン源を直結した従来の直接プラズマ入射法では、加速器に過大なビーム電流が入射することでビームが加速器入口で発散してビーム損失が生じるとともに、加速されたビームパルスの時間幅が後段のシンクロトロンで必要とされる数マイクロ秒に対して短い0.5マイクロ秒程度(炭素6価ビーム)であった。本研究では、レーザーイオン源と加速器の間にソレノイド電磁石を備えたプラズマ輸送路を新たに加え、磁場によって進行方向に垂直な径方向のプラズマを発散を抑制して加速器入口でのプラズマのイオン電流密度を制御するとともに、プラズマの運動量の拡がりを利用して進行方向にプラズマを膨張させて長パルス化する技術を開発する。 平成24年度に磁場中でのプラズマの運動解析、平成25年度にソレノイド電磁石の製作及びプラズマのイオン電流密度制御・長パルス化実証実験、平成26年度に実験結果の詳細解析を行う計画で開発を開始した。 平成25年度はソレノイド電磁石の設計・製作、及び測定機器制御プログラムの開発を行った。 1)ソレノイド電磁石の設計・製作:長パルス化実験に用いる 400mJのNd:YAGレーザーで発生する炭素6価イオンのエネルギー分布の測定データを基に、磁場中のイオン軌道計算を行い、径方向にプラズマを閉じ込めかつ進行方向にプラズマを膨張させるのに必要な最大中心磁場0.1T, 長さ1mのソレノイド電磁石の設計を行った。磁場領域の長さを変えてプラズマの特性を計測できるように、長さ0.5mの2つの同一の電磁石を直列に接続する構造とした。製作した電磁石の磁場測定を行い、必要な磁場分布が得られることを確認した。 2)機器制御プログラムの開発:プラズマ中のイオンの価数分布測定に用いる静電アナライザー用の電圧制御プログラム及びプラズマイオン電流測定用のイオン引き出し電圧制御プログラムをLabVIEWを用いて作成し、迅速かつ正確な測定パラメータ変更を可能にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験機器の制御プログラムの作成及びレーザー管理区域の設定に時間を要したため、本年度後半に予定していたプラズマのイオン電流密度制御・長パルス化実証実験が未実施となった。
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Strategy for Future Research Activity |
ソレノイド電磁石を2台にしてレーザーイオン源テストベンチに据え付け、プラズマのイオン電流密度制御・長パルス化実証実験及びデータ解析を行う。制御プログラムを活用して実験を迅速に進めることで、計画の遅れを取り戻す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ソレノイド電磁石は合計2つ製作予定であるが、要求を満たす磁場分布が得られない場合に設計変更をする可能性があったため、本年度は1台のみを製作した。 要求を満たす磁場分布が得られたので、予定通りの仕様でもう一台のソレノイド電磁石を製作する。また、電源の購入及び学会発表等に使用する予定である。
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