2014 Fiscal Year Research-status Report
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24710105
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Research Institution | 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び東海事業センター(利用研究促進部)) |
Principal Investigator |
吉良 弘 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び東海事業, その他部局等, 技師 (50400239)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 中性子偏極デバイス / 偏極中性子 / デバイス開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は、2013年度に有限要素法計算を元に設計・製作した大口径・高耐圧・薄型GE180ガラスセルを用いて、カリウムとルビジウムを封入した予備実験用ヘリウム3ガスセルを作製した。光吸収測定により気相のカリウムとルビジウムの吸収を測定し、カリウムとルビジウムの混合セルが予定通り製作できていることを確認した。この高耐圧セルは、耐圧性能を高めるためにレーザー入射窓を湾曲させたが、これがレーザーの入射を妨げ、ヘリウム3ガスをきちんと偏極できない可能性が考えられる。そこで実際にセルにRbの吸収端に相当する波長の円偏光レーザーを照射し、ヘリウム3ガスの核スピンが偏極することを確認した。 次に、2013年度に磁場計算を行った偏極ヘリウム3ガス用磁気シールドの性能評価を行った。実ビームライン上では様々な機器が設置されており環境磁場を乱すのでヘリウム3ガスが短時間で緩和してしまう。特に試料用の電磁石を用いた磁場環境では、試料に印可する磁場が1~10Tに達することもあり、その漏れ磁場の影響は極めて大きい。そこで今回は、1Tの試料環境用電磁石を設置し、磁気シールドをその2m下流に設置した状態で、磁気シールド内の所定の位置に偏極済みのヘリウム3ガスセルを設置してその緩和時間を測定することで性能評価を実施した。今回の配置はビームラインで実験を行うことを想定したものであり、J-PARCの実際のビームライン上で実施している。この状態で緩和時間はおよそ70時間であることが確認された。同じ磁気シールドについてビームライン外でも同様の実験を行ったが、そのときの緩和時間も約70時間であり、磁気シールドが試料用電磁石の漏れ磁場をきちんと遮蔽し、実験上十分な性能が発揮できていることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2013年度に有限要素法計算に基づき新規設計した大口径・高耐圧・薄型GE180ガラスセルで、ルビジウムとカリウムを混合した偏極ヘリウム3ガスセルを実際に製作し、偏極実験を行うことでセル製作についての知見を得た。また、実際の実験条件下で偏極ヘリウム3ガス用磁気シールドの性能評価を行い、十分な性能を発揮できることを実証した。 このように一定の成果を上げることが出来たが、一方でJ-PARCのハドロン実験施設の事故の影響を受け昨年度より計画が遅延しており、計画にあったゼオライトを用いた高偏極効率セルの製作には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は、最終目標であるゼオライトを用いた高効率ヘリウム3ガス核スピン偏極システムの実機製作・性能評価を行う。2014年度に得た大口径・高耐圧・薄型セル、および高性能偏極ヘリウム3ガス用磁気シールドの知見を元にシステムを設計・製作する。 また、本システムの中心となるアルカリ金属クラスターを内包したゼオライトLTAの製作を2015年度前半に実施する。従来のヘリウム3ガス偏極方法では、ルビジウムやカリウムと言ったアルカリ金属を加熱して気相にする必要があったため、システムが大型化するとともに安全対策も必要であった。これを解決するために、アルカリ金属をゼオライト中に分散させ、温度を上げなくても十分な密度で分散させるのが本システムの重要要素であり、これにより小運にする必要がない取扱いが容易でシンプルなシステムを構築する計画である。 また、今年度はルビジウムの電子常磁性共鳴を利用したヘリウム3ガス偏極率評価システムを新規開発する。これにより、中性子ビームを使わずにヘリウム3ガスの偏極率評価が可能となる予定である。
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Causes of Carryover |
本研究で製作するゼオライトを用いたヘリウム3ガス核スピン高効率偏極システムは中性子ビームの効率的偏極を目指しており、性能評価には中性子ビームの利用が不可欠であった。 しかし、利用を酔え呈していた研究用原子炉JRR-3は震災の影響で運転を手尾逸しており運転されなかった。また、J-APRCでは磁気シールドの性能評価を実施することが出来たが、J-APRCハドロン実験施設の事故により実施が計画より大幅に遅れた。このため、従来の計画よりも大きな遅れが発生したのが予定通り予算を執行できなかった原因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、本研究の最終目標であるゼオライトを用いたヘリウム3ガス核スピン高効率偏極システムの実機製作・性能評価を実施する計画である。本システム製作に85万円を使用する。 また、中性子ビームが不要な偏極ヘリウム3核スピンの偏極率測定手段として、電子常磁性共鳴法による測定装置の開発を行う。このシステム開発に50万円を使う予定である。
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Research Products
(1 results)