2013 Fiscal Year Research-status Report
ナノスケール分子共振器における量子力学的振動モード制御の理論研究
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24710111
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
植田 暁子 筑波大学, 数理物質系, 助教 (70453537)
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Keywords | 分子接合 / トポロジカル超伝導体 / フォノン / 量子ドット / マヨラナフェルミオン / グラフェン / アハラノフ・ボーム振動 |
Research Abstract |
量子力学的な振動モードの発生、制御をする有機分子デバイスの提案するため、理論的な基礎研究を行っている。今年度は、トポロジカル超伝導リードを有機分子に取り付けて、分子の振動モードを制御するシステムを考案し、研究を進めた。トポロジカル超伝導体を分子(量子ドット)に取り付けたシステムでの電気伝導特性はあまり調べられていないため、ケルディッシュグリーン関数を用いて電流を計算した。また、電子の位相情報を調べるため、量子ドットをアハラノフ・ボームリングに埋め込んだ系でのコンダクタンスを調べた。トポロジカル超伝導体は、その対称性によって、いくつかのクラスに分けられる。我々は、クラスDとクラスBDIのトポロジカル超伝導体について、アハラノフ・ボーム振動と量子ドット中の電子の量子状態を調べた。トポロジカル超伝導体の端にはマヨラナフェルミオンと呼ばれる粒子と反粒子が同一の粒子が存在する。量子ドットとマヨラナ束縛状態の混合状態によって、コンダクタンスのゼロバイアスにピークやディップが現れる。このディップやピーク、アハラノフ・ボーム振動の位相はトポロジカル超伝導体中のマヨラナフェルミオンの量子状態やドットとマヨラナ束縛状態の間のトンネル結合に依存して変化することを示した。 尚、分子中の電子と振動の相互作用を取り入れた計算は現在進行中である。マヨラナ束縛状態が電子を通して分子の振動モードとカップルすることによりスクイーズド状態の発生が期待される。 また、二層グラフェンに強磁性体を取り付けた系での電気伝導特性を調べた。ファノ因子を計算することによって、フェルミエネルギーがディラック点にあるときの伝導が、磁場やゲート電圧によって拡散的な伝導からトンネル伝導に変化することを明らかにした。尚、本成果はJournal of Physics:Condensed Matterに受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年中にトポロジカル超伝導体を用いて有機分子の振動モードをスクイーズドする方法を提案する予定であった。トポロジカル超伝導体が分子接合に取り付けられているときの電気伝導特性については研究成果を挙げることができたが、まだ、スクイーズド状態の実現方法の提案には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
トポロジカル超伝導体を用いてスクイーズドモードを発生する分子共振器の研究を推進するため、共同研究者であるベングリオン大学のEntin-Wohlman教授、Aharony教授との研究議論をより積極的に行いたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ワークステーションを購入する予定だったが、既存のワークステーションにCPUやメモリを増設することや東京大学の物性研究所でスーパーコンピュータを借りることで代用できることが分かり、購入をやめた。 計算を実行するために、スーパーコンピュータの利用料やメモリの増設の購入に充てる。また、研究成果を報告するため、物理学会(2回)や国際会議(ICPS等)の参加費、旅費に利用する。研究議論を行うため、共同研究先(イスラエル・スイス等)への出張の旅費に利用する。
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Research Products
(5 results)