2012 Fiscal Year Research-status Report
第一原理計算による高効率量子輸送デバイスのデザイン
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24710113
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小野 倫也 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80335372)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 第一原理計算 / 密度汎関数理論 / 輸送特性 / ナノデバイス |
Research Abstract |
独自に開発した第一原理に基づく電子状態・量子輸送特性計算手法を駆使し、ナノ構造の量子輸送を電子素過程から調べ、高効率量子輸送を可能にするナノデバイスをデザインする。具体的には、フラーレンやカーボンナノチューブ等のカーボン材料を用いたナノ構造の構造安定性や量子輸送特性と、それらが電極に接続された場合の電極表面とナノ材料の接合状態の違いによる量子輸送特性の変化を原子・電子レベルから精緻に調べ、得られた知見をもとに高効率スピンフィルター素子や高移動度チャネル材料をデザインする。さらには、第一原理計算の結果を実験に提供することにより、新たなデバイスの開発への指針を与えることを目指す。 今年度は、超並列計算機での計算の高速化をはかるため、実空間差分法に基づく第一原理計算コードRSPACEをチューニングした。また、グリーン関数法を用いた輸送特性計算手法の開発、ハイブリッド近似を用いた交換相関ポテンシャル計算法の開発およびスピン軌道相互作用とノンコリニア磁性を扱う計算手法など新計算手法・アルゴリズムの開発を行った。さらに、開発したコードを用いて、Ge表面に形成された欠陥の散乱ポテンシャルの評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度予定していた波動関数の時間発展を計算するアルゴリズムの開発については未着手であるが、平成25年度に予定していたRSPACEの超並列計算機での高速化チューニングを前倒しで行った。ハイブリッド近似を用いた交換相関ポテンシャル計算法の開発や、スピン軌道相互作用とノンコリニア磁性を計算できるアルゴリズムの開発により、高精度な電子状態計算が可能なった。以上のように、研究計画全体を見れば概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時に計画していた通り、引き続き計算のボトルネックになっている部分を超並列計算機で高速化チューニングを行う。また、開発したコードRSPACEを利用して、カーボンナノチューブなどを用いたデバイスや、遷移金属を含む材料をチャネルに用いたデバイスのデザインを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計算機システムを購入予定であったが、費用対効果を検討した結果、25年度に発売される新製品を購入した方が効果的であったため、計算機システムと周辺機器に関する予算執行を25年度に先送りした。25年度に執行予定であったものは、予定通り執行する。
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