2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24710116
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
鈴木 宏明 中央大学, 理工学部, 准教授 (20372427)
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Keywords | リポソーム / 微小反応場 / 溶液操作 |
Research Abstract |
本研究では、リン脂質二重膜小胞(リポソーム)を化学・生化学反応溶液の操作単位として、その融合と分裂によってフェムトリットル(10^-15 L)の溶液操作を実現することを目的とした。界面通過法による作成したリポソームをマイクロ流路に導入し、光ピンセットを用いて顕微鏡下で特定のリポソームペアを電気融合させ、溶液混合を行った。また、融合したリポソームが排除堆積効果により分裂様の変形を起こし、内部の微量溶液が分割されることを確認した。以上の操作により、望みの溶液同士を混合させ、化学反応をトリガーし、かつその反応産物を分割して回収する操作をフェムトリットルという極微小の溶液で工学的に実現した。さらに、膜を構成しているリン脂質の相転移温度付近まで環境の温度を低下させると、分割変形後に接続されていたリポソームのネックが完全に分離することを確認した。以上の実験結果により、効率に課題が残るものの、当初の計画通りにフェムトリットル(直径10マイクロメートル以下)の溶液操作技術基盤を確立することに成功した。本成果は、マイクロ・ナノサイエンスの分野で広く研究されている化学・生化学溶液の微小ハンドリング技術を、体積でさらに一桁小さくするもので(ピコリットルからサブピコリットル、フェムトリットル)、これを起点として様々な応用展開研究が期待できる。
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