2014 Fiscal Year Annual Research Report
原子分解能を有するHR-TEMによるカーボン及び金属複合体の充放電機構の解明
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24710122
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
瓜田 幸幾 長崎大学, 工学研究科, 助教 (40567666)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リチウムイオン二次電池 / 合金系電極材料 / 電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は蓄電デバイスの高性能化に向けて,充放電過程にある電極材料の状態をTEMで直接視覚的に捉えることで現象を解明し,理想的な電極構造を設計することを目的とした。ここでは,リチウムイオン二次電池の負極材であるグラファイト及びSi, Snとカーボンの複合電極材料をターゲットとした。グラファイトの充放電過程は,グラファイトへのLiイオンの挿入によるステージ構造変化を伴うが,構造相転移過程や積層数による電気化学特性の影響は十分な知見が得られていなかった。そこで,種々の層状粘土鉱物を鋳型にし,積層数が制御された薄層グラファイトの新規合成法の検討から行った。その中で,モンモリロナイトはグラファイト面内に構造欠陥が示唆されたが層構造を形成するのに有用であることが分かった。また,炭素源の割合を制御することで,平均積層数を10層以下(少ないもので5層)に制限することに成功した。今後はTEMによる構造相転移の観察へ進めていく。一方,合金系複合化材料のSnO2は,充放電に伴う体積変化が大きく活物質の微粉化,集電体からの剥離,放電時では固相間反応となるため,空間的な制約が性能向上に有用であると考えた。そこで,多孔性カーボン材料のナノ空間に優先的にSnO2ナノ粒子を担持法する手法の検討を行い,気相法により,担持量の制御,優先的な担持を達成した。また,電気化学測定を行った電極材料の構造評価より,カーボンナノ空間と空隙割合が充放電特性向上に大きく影響することが分かった。Si系においても,不活性雰囲気下での不均化反応によりSiナノ粒子を合成し,カーボンとの複合化を行うことで性能向上が確認出来たが,サイクル特性の向上には,さらに粒子サイズの微小化が必要であり他の手法を検討中である。同時に,TEMによるin-situ観察の準備を始めており今後さらに詳細な反応メカニズム解明へと発展させていく。
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