2014 Fiscal Year Annual Research Report
無細胞たんぱく質合成系を用いた基板支持生体模倣膜の構築
Project/Area Number |
24710127
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
片岡 知歩(浜井知歩) 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 研究員 (70443009)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 支持脂質膜 / ベシクル / 蛍光顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
無細胞合成系を用いて支持脂質膜への膜タンパク質の取り込みを試みた。その結果、その疎水的性質から無細胞合成された膜タンパク質は支持膜に到達する前に凝集してしまい、支持膜中ではフォールディングしないことが分かった。DNA濃度等のパラメーターを変化させるなどの様々な実験を行ったが、フォールディングに適した実験条件を見い出すことはできなかった。 本研究では、膜タンパク質の取り込みに適した固定化膜系を開発するため、固定化膜の性質に関する研究も予定していた。この研究項目において、固体表面―膜相互作用によって支持膜の分子密度が変化することを明らかにした。具体的には、ガラスおよび酸化シリコン表面に作製されたDOTAP支持膜の分子密度がpH上昇に伴って減少することを明らかにした。分子密度変化は、拡散定数のpH依存性、膜面積変化の直接的観察、石英振動子測定におけるエネルギー損失項の変化によって証明された。膜タンパク質の性質や機能は脂質充填密度に大きく左右されるにも関わらず、支持膜の分子密度に注目した研究はこれまでに行われていない。従って、分子密度と表面相互作用との相関を初めて明らかにした本研究は非常に重要である。また、ベシクルが開裂し支持膜を生じる機構のうち、膜欠陥形成によって誘発される開裂機構を発見した。欠陥孔の生成確率は塩濃度、pH、ベシクルの電荷に依存していた。具体的には、高塩濃度および負に帯電したベシクルに対して膜欠陥孔がより多く生成した。また欠陥孔形成メカニズムも明らかにした。現在、膜タンパク質を含む脂質膜を固体表面に固定化し、タンパク質を介した物質輸送の測定が試みられているが、そのような系では膜欠陥含有率の低減が必須である。従って、欠陥孔形成機構を初めて明らかにした本研究は重要である。
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Research Products
(5 results)