2013 Fiscal Year Research-status Report
金属ナノロッドを活用した電気化学キャパシタの高エネルギー密度化
Project/Area Number |
24710128
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
中西 英行 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教 (20619655)
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Keywords | ナノワイヤー / 陽極酸化アルミナ / 電気化学キャパシタ / ナノ材料科学 |
Research Abstract |
電気化学キャパシタ(ECs)は、電極と電解質の界面に電気二重層を形成してエネルギーを貯蔵する。電極の面積が大きくなると、蓄えられる電荷量も増加することから、表面積の大きな材料が電極に用いられてる。しかし、表面積が増大すると、イオンと電子の輸送にかかる抵抗は大きくなり、充放電の遅延やエネルギーの損失が生じる。本研究では、電解析出法を利用し、陽極酸化アルミナを鋳型に用いて、集電極から垂直に配向した金属ナノワイヤー電極を合成した。電極の特性は、サイクリックボルタンメトリと定電流充放電測定を行い、評価した。一般的に、1V/s程度の速度で電位を走査すると、界面への電荷輸送が遅れ、矩形から大きく拉げたCV曲線を示すことが分かっている。一方、直径が180nmの金ナノワイヤーアレイを電極に用いたECsは、速い充放電速度(~500V/s)においても矩形に近いCV曲線を示し、迅速に電荷キャリアが移動していることが明らかになった。また、定電流充放電測定で観察された電圧降下から内部抵抗を求めたところ、ワイヤーが長くなる(~19um)につれて内部抵抗は減少することが分かった。このことから、ナノワイヤーアレイの抵抗よりも溶液の抵抗が全体の内部抵抗に大きく影響すると考えられ、ワイヤーを長くすることによって表面積の拡大と内部抵抗の抑制を両立できることを明らかにした。この上、細孔が周期的に配列した分岐などの欠陥が少ない陽極酸化アルミナを作製し、直径が55nmの金ナノワイヤーを合成した。同じ長さ(19um)において180nmの直径のワイヤーと比較すると、直径が55nmのワイヤーは約3倍大きな表面積を有する一方で、内部抵抗は半分程度に減少することが分かった。今後、電極と細孔の構造と静電容量や内部抵抗との関係について詳しく調べ、エネルギー損失が少なく、高速で充放電できるECsの設計方法について検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、金ナノワイヤーの細線化とECsの特性の評価を予定していた。陽極酸化アルミナを自作することによって、ナノワイヤーの直径を180nmから55nmに細線化することができた。また、細線化に加えて、欠陥の少ない規則性の高いアルミナを作製することができ、ランダムに細孔が分布したアルミナと比較することによって、得られた電極と細孔の構造が大きくECsの特性に影響することを示した。特に、規則性の高いアルミナを用いて作製したナノワイヤー電極は良好な特性を示すことを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きナノワイヤーの細線化を行いながら、電解析出法やエッチングなどを駆使してナノチューブなどを造形し、内部抵抗を抑制しつつ、表面積の拡大を行っていく。また、これらと平行して、これまでに合成してきた金ナノワイヤーに二酸化マンガンやポリピロールなどの可逆的な酸化還元反応を示す物質を電解析出させ、酸化還元反応を利用して擬似的に静電容量を向上させる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度に得られた実験結果や研究の進捗状況から、当初予定していた消耗品等を購入する必要性が該当年度に発生しなかったため。 当初の計画通り、ナノワイヤーや酸化還元物質の合成と評価に必要な消耗品および備品を購入の予定。
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Research Products
(6 results)