2013 Fiscal Year Annual Research Report
走査電子顕微鏡法における二次電子像表面ポテンシャルコントラスト原理の解明
Project/Area Number |
24710130
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
熊谷 和博 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 研究員 (20582042)
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Keywords | 走査電子顕微鏡法 / 二次電子 / コントラスト / 薄膜 / 電子分光 / 検出器特性 |
Research Abstract |
近年,半導体基板上に置かれた厚み数nmの薄膜試料のSEM二次電子像では,薄膜の形状ではなく,表面ポテンシャルを反映したコントラストが観察されるという報告がなされている.これに関して,半導体-薄膜接合を考慮したモデルが提唱されているが,充分な検証はなされていない.そこで,本課題では,走査電子顕微鏡(SEM)よる薄膜の二次電子像形成原理の解明を目的とした研究を行った. 平成24年度には,(1)SEM装置における二次電子検出特性測定の高度化,(2)組成傾斜をもったモデル薄膜試料の作製,(3)モデル試料の評価,(4)モデル試料のSEM観察を実施した. 本研究で作製したモデル薄膜試料(2nm厚)では,表面ポテンシャルよりもバルクとしての性質が強調された二次電子像が得られた.これは当初の予想に反するものであり,像形成モデルの妥当性について疑問が示された. 平成25年度においてもこの問題に取り組んだが,試料表面状態制御の難しさから解決には至っていない.この他,前年までに評価を行った二次電子検出特性を踏まえ,(5)実試料としてのRuO2ナノナノシート観察を行い,材料評価に本手法が有効であることを示した.さらに,(6)電子分光実験から二次電子に加え,低エネルギー損失電子がナノ薄膜の可視化に有効であるとの知見が得られ,低エネルギー損失電子を用いた分光的SEM像観察の基礎的データを取得した.この知見は,SEMの可能性をさらに広げるものであり,早期に発展的な研究を進めるべきである.
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Research Products
(4 results)