2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24710141
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
木村 啓志 東海大学, 工学部, 講師 (40533625)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | マイクロ流体デバイス / in vitro組織モデル / 細胞培養 / 細胞アッセイ / ドラッグスクリーニング |
Research Abstract |
本研究は医薬品開発における動物実験削減を目指し、マイクロ流体デバイス技術を活かしたバイオミメティクス的アプローチによって、生体外(in vitro)での肝細胞の機能維持とその観察が可能な新規の細胞アッセイプラットフォームの実現を目的としている。本申請課題では、肝臓組織の最小構成単位である肝細胞索の微小構造に着目し、この構造を再現することで肝細胞の生体内(in vivo)同様の毛細胆管形成や代謝活性を実現する肝代謝モデルデバイスの開発を目指す。さらに、このデバイスを用いて肝細胞の化学物質などの入力に対する出力を計測することで、in vitro肝代謝モデルとしての評価を行う。 今年度は、主に、肝代謝モデルデバイスの設計と製作を実施した。肝組織モデルの構築として、生体内の肝細胞索の物理的構造を模擬するマイクロ流体デバイスを設計し、レプリカモールディング法によってポリジメチルシロキサン(PDMS)製のデバイスを製作した。デバイスの細胞培養流路は、肝細胞やゲルビーズなどの粒子を二列直線状に配列可能となるように設計されている。このデバイスによって、in vitroでの肝臓組織構造模倣を実現した。また、三次元構造を実現するためにゲルビーズを用いることも検討しており、2、3個の細胞を埋包するためのゲルビーズ作製用デバイスの開発および作製条件の最適化検討にも着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
想定外の大きな問題もなく、研究計画の内容に準じて、研究を実施できている。今年度は、申請時から予定していたとおり、主に、肝代謝モデルデバイスの設計と製作を実施し、協力研究者と密にディスカッションを重ねた結果、目的に沿ったデバイスを開発することができた。このデバイスによって、世界的に見ても類を見ないin vitroでの肝臓組織構造模倣を実現したことは特筆すべき点である。また、本研究を通じて、医工連携の足がかりができていることも学術的・社会的に評価に値するところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、研究計画に準じて研究を推進していく予定である。具体的には、平成23年度に開発したデバイスの機能評価として、初代肝細胞を使った培養試験や、化学物質曝露試験による細胞アッセイを実施していく。生物学的な検討については、より専門的な知見が求められるため、臓器・生体システム工学に詳しい東京大学の酒井康行教授らからの助言を積極的に得る予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に、マイクロ流体デバイス作製のための材料と、細胞培養試験実施のための関連消耗品の購入のために使用する。また、得られた研究成果を積極的に公表するために国内外の学会参加を予定しており、そのための旅費としても使用する。 平成24年度から平成25年度への助成金の繰り越しが発生した理由は、申請時に想定していた高倍率の顕微鏡用対物レンズを購入せずに、研究が進められたためである。ただし、平成25年度に必要に応じて、対物レンズの購入を検討する。
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