2012 Fiscal Year Research-status Report
誘電泳動を活用した真皮・表皮細胞からなる多階層マイクロ皮膚チップの創製
Project/Area Number |
24710145
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮田 昌悟 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (70376515)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 細胞アセンブリ / 多階層組織 / 皮膚 |
Research Abstract |
本年度は,皮膚のモデル細胞として2種の細胞を用いた.真皮細胞としてはマウス表皮由来繊維芽細胞(UV B16-1.1, Riken BRC)を,表皮細胞にはマウス表皮由来メラノーマ細胞(B16F1, Riken BRC)を用いた.真皮層の微少組織を第1階層として構築するために,UV B16-1.1細胞は1%アルギン酸溶液に懸濁し,直径75-100 μmの細胞包含ビーズとしてゲル化した.具体的には,細胞懸濁アルギン酸溶液をシリンジポンプを用いて注射針から一定速度で流出しながら,液滴を窒素ガスで102 mM塩化カルシウム溶液中に放出して10-15 min攪拌することで細胞包含ゲルビーズを作製した. さらにB16F10細胞を表皮細胞として,UV B16-1.1細胞を包含するゲルビーズ周囲に集積することで多階層構造を成した.細胞包含ビーズは実験前に誘電泳動用の細胞等張低導電性バッファで洗浄することで誘電泳動力を効果的に生じさせた.誘電泳動による細胞集積では,まず初めにUV B16-1.1細胞包含ビーズ溶液を注入し,電極間に交流電場を印加することで誘電泳動力を生じさせ点電極アレイ上に捕集した.細胞包含ビーズの捕集後に,B16F10細胞を細胞等張低導電性バッファに懸濁した細胞懸濁液を注入し,電極間に交流電場を印加することで誘電泳動力を生じさせビーズ周囲に集積した.誘電泳動による細胞の多階層集積が終了した後に培養することで細胞の生存性と組織の再構築が確認された. また,簡易型共焦点レーザー観測系の構築においては,正立型顕微鏡の光学系を改良し,レーザー光源,ガルバノミラー制御系,光電子増倍管による蛍光強度観測系の組み込みを行い,蛍光ビーズを用いた予備観察実験を実施したところ蛍光強度の観察が可能であることが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の実施項目の一つである「真皮細胞,表皮細胞の多階層アセンブリ技術の開発」に関しては,シリンジポンプによる精細な流量制御系と面-点電極アレイから構築された誘電泳動型細胞集積チャンバを開発することで,マウス真皮モデル細胞(UV B16-1.1, Riken BRC),表皮モデル細胞(B16F1, Riken BRC)を対象として,多階層構造を成す細胞スフェロイドアレイの構築に成功した.簡易型共焦点レーザー顕微鏡観察系の構築では,既製の正立型顕微鏡を改良してレーザー光源,ガルバノミラースキャン系,光電子増倍管による蛍光強度観測系を組み込み,蛍光ビーズの蛍光強度の観測が可能となっている.今後は細胞の観察を実施する予定である.以上,平成24年度に目的としてあげた項目で,一点目はすでに達成しており,二点面もレーザースキャン系,観測系の構築はすでに達成していることから,概ね順調に研究が進んでいると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
開発した多階層細胞アセンブリデバイスを用いて真皮および表皮細胞からなる多階層構造を持つ培養皮膚マイクロチップを創製し,さらに生体皮膚組織としての機能評価を行う.具体的には以下の項目についての機能評価を実施する. 1.皮膚細胞スフェロイドの培養による組織構築の検証 2.アセンブリ後の皮膚細胞スフェロイド内部の細胞の生死判定(Calcein-AM,PI の二重蛍光染色) 3.一般的な皮膚刺激試験に用いられる代表的試薬を用いた培養皮膚マイクロアレイの刺激応答検証実験 以上を実施することで創薬への応用を想定した多階層皮膚微小組織アレイの構築を実現する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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