2013 Fiscal Year Annual Research Report
誘電泳動を活用した真皮・表皮細胞からなる多階層マイクロ皮膚チップの創製
Project/Area Number |
24710145
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮田 昌悟 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (70376515)
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Keywords | 細胞アセンブリ / 誘電泳動 / 多層皮膚組織エレメント / 細胞チップ |
Research Abstract |
本研究では,創薬分野に展開可能は検査用細胞チップの創製技術として多階層の培養皮膚チップの創製を行った. 平成24年度には真皮細胞,表皮細胞の多階層アセンブリ技術を開発した.具体的には交流電場下に細胞を配置することで細胞に泳動力を生じさせる誘電泳動現象に着目し,この現象を用いた細胞アセンブリ技術と細胞懸濁液の導入をコンピュータ制御によって精細に制御するシステムを複合化することで,多段階での細胞の集積化を可能とする細胞アセンブリシステムを構築した. さらに,上記の装置で構築された多階層細胞エレメントの観察を行うための簡易型共焦点レーザー観察系を用いた細胞集積体のリアルタイム観察系の構築も試みた.既製の共焦点レーザー観察系は高価である上に光軸(z軸)方向のスキャンレートが低いという問題がある.これを回避するため固体レーザ,ガルバノおよびレゾナントミラーから構築される自作の簡易型共焦点レーザ観察システムを開発した. 平成25年度には,前年度に開発されたアセンブリシステムを用いて真皮細胞および表皮細胞の多階層集積化と細胞チップ化を行った.細胞チップを7日間培養したところ,コラーゲンゲルビーズ中に包埋された中心部の真皮細胞と外層部の表皮細胞はともにCalcein-AMに対して高い染色性を示し,両細胞の生存性が認められた.また,表皮細胞は培養後に層状の構造体を形成しており,皮膚様の組織が再構築されていることも明らかとなった.消毒用アルコールを用いた刺激試験に対しても,アルコールによる刺激があったアレイ群の細胞はPIに対して染色性を示したことから細胞死が確認された. 以上,本研究では真皮・表皮細胞から構成される多階層培養皮膚エレメントの創製を実施し,薬効試験用の細胞チップとしての有効性を確認した.
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