2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24710149
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
大矢 剛嗣 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30432066)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 単電子回路 / 生体機能模倣 / 雑音耐性・利用 / ゆらぎ耐性・利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は「生体機能を模倣した単電子情報処理システムを構築すること」である。単電子デバイスは原理的に熱雑音や揺らぎに弱いことが知られている。一般的には作製プロセスの向上および極低温動作により問題の解決を目指すが,本研究では生体の持つノイズ・揺らぎ吸収機能および利用機能に着目するという従来とは別のアプローチから解決を図る他,未確立の単電子回路向けの情報処理アーキテクチャについて,生体の持つ情報処理機能に学ぶシステムの設計をし,単電子回路に適する手法であることを実証する。 本研究の目的である生体機能を模倣した単電子並列情報処理システムの構築を実現するためには,大きく分けて3つのことについて検討をする必要がある。これは第一に,生体が持つ有益な機能の内「雑音・揺らぎを吸収・利用する機能」の単電子デバイスへの実装,第二に,生体機能の中の「機能的情報処理能力」を単電子デバイスによって実行すること,第三に,前述の「雑音・揺らぎ吸収/利用 単電子デバイス」と「生体様情報処理 単電子デバイス」との融合(最終目標)である。 平成26年度(最終年度)においては,平成24年度および平成25年度に遂行した研究を基に第一・第二の内容を突き詰めた。結果として,細胞性粘菌の挙動/蟻の挙動/軍隊蟹の挙動/ニューラルネット模倣といった各単電子回路の実現可能性が高いことを見出したほか、雑音・揺らぎを利用することにより、信号伝搬速度の向上能力の発現/信号振幅の増幅能力の発現等の新現象を見出した。さらに、生体に学び雑音・揺らぎを利用するというものについては例えばニューラルネットワーク模倣回路に雑音利用能力を付与することで信頼度・パフォーマンスが高くなるものがあることを見出した。それぞれの研究に関して研究機関全体を通して英語論文誌に採択および国際会議・国内学会発表を実施することができた。
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