2014 Fiscal Year Annual Research Report
負のスピン分極材料の磁気緩和制御と高効率微細スピン注入源への新展開
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24710154
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Research Institution | Fukushima National College of Technology |
Principal Investigator |
磯上 慎二 福島工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10586853)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 窒化鉄薄膜 / 結晶構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
負のスピン分極を有する窒化鉄(Fe4N)薄膜をスピンランダムアクセスメモリなど,低消費電力が望まれるデバイスに応用するには,磁気緩和定数をできるだけ低減することが必要である.これは磁化反転を引き起こす臨界電流密度が磁化自由層の磁気緩和定数に比例することによる.そこで最終年度では研究実施計画のとおり,バナジウム(V)の添加による効果を確かめるため,Fe-V-N薄膜の作製を試みた. まず,基準であるFe4N薄膜を反応性スパッタリング法にて作製した.成膜中に流すプロセスガスは,アルゴンガスと窒素ガスの混合ガスとし,窒素ガスを全ガス圧の約25%となるように調整した.結晶構造解析用の膜構成は,100 nmの熱酸化膜つきSi単結晶基板/MgO 2 nm/Fe4N(Fe-V-N)20 nmとした.X線構造解析の結果,Fe4N薄膜が単相で形成されていることが判った.次にFe4NへVを添加するため,VチップをFeターゲット上に配置しながら同一の窒素分圧下にてスパッタリング成膜を行った.蛍光X線にてFeとVの組成比を定性分析したところ,(Fe88V11)4Nおよび(Fe78V22)4Nであることが判った.しかしながら,X線構造解析の結果では,γ'相とそれとは別の第二相も含んだ膜が得られていることを明らかとした. 第二相の詳細は特定されていないが,確認のためFe-V二元合金薄膜を作製した.すると同一下地層上にbcc構造を有するFe88V11及びFe78V22薄膜が形成されていることを確認した.今後はγ'-Fe4Nのペロブスカイト構造と親和性をもつ軽元素を探索しながら単相化を目指す.
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