2013 Fiscal Year Research-status Report
生体侵襲を伴う医療業務の構造的可視化にもとづいた問題分析方法の開発
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24710159
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下野 僚子 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60609361)
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Keywords | 医療業務プロセス / 問題分析 / 標準化 / 医療の質保証 / 生体侵襲 / 医療社会システム工学 / 品質管理 |
Research Abstract |
医療の安全・質保証のため,医療業務における問題分析・対策立案を行うための様々な問題分析手法が提案されている.しかし,医療業務特有の複雑性を考慮した分析方法は確立しておらず,分析・対策の内容が,各医療機関の担当者の力量に依存しているのが現状である.本研究では,医療業務プロセスの構造的可視化に基づいて分析の観点を与えることで,従来よりも問題の発生状況を的確に把握し,問題分析を行う方法の開発を目的とする. 平成25年度は,前年度に行った,業務プロセスの構造的可視化に基づく分析方法の開発およびレトロプロスペクティブな検証を踏まえ,以下内容を実施した.2つの医療機関との共同研究体制のもと,主に中心静脈カテーテル(CVC)挿入プロセスを対象業務として実施した. ・医療機関におけるパイロットスタディのためのツール開発 共同研究先となっている医療機関において,日常的な臨床業務のなかで適用するため,医療従事者にとって負担のないツールを開発する必要があった.このため,既往研究である医療業務記述手法の活用を基本としながらも,各医療機関における既存ツールや運用体制を活用できるよう工夫した.2つの医療機関のうち,病院Aでは,CVC挿入症例ごとに提出されるチェックシート収集に基づいた分析を行い,病院Bでは,構造的可視化に基づく業務標準を踏まえて適切に症例実施できているかを評価できるツールを検討した. ・有用性の検証 病院Aでは,チェックシートデータ収集と分析により,一定期間に実施された症例の全体傾向が分析可能となり,ある程度の有用性は確認できた.一方,病院Bでは,今年度は,データ入力(記入)者となる医師の時間が確保できなかったため,検証には至らなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は,平成24,25年度の2年間での実施を計画していたものである.平成24年度は,問題分析方法の開発と,レトロスペクティブな検証により妥当性の確認を実施した.平成25年度は,問題分析ツールの開発と有用性の検証を行うこととしていたが,計画の一部が実現できず,研究期間の延長を行ったことから,計画に対して「やや遅れている」とした. 平成25年度は,2つの医療機関において問題分析のためのツール開発をすすめた.各医療機関では,日常の臨床業務で使用可能なものとするため,それぞれの医療機関の状況を踏まえて開発している.共同研究先の医療機関うち,ひとつの病院で,生体侵襲を伴う医療業務の実施状況を分析するための調査票を運用してデータ取得する予定だったが,当該病院内の医師による詳細な調査票への回答時間が確保できず,データが十分に得られなかった.計画変更により,調査内容の絞り込みを行うとともに,調査票運用の手順を見直すことで再度調査を依頼した後にデータ取得・検討することになった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,取り組むべき課題として,提案する問題分析方法の精緻化を行い,多くの医療機関で展開可能にする必要がある.平成26年度は,前年度までに行う計画であった,分析の観点を盛り込んだツールのテスト運用を進める.このために,研究機関の延長を行い,承認されている. 計画変更は,開発したツールのテスト運用で用いる調査票に対して,医師による回答時間を確保できなかったために生じた.このため,調査内容の絞り込みを行うとともに,共同研究先の事務局担当者と協力しながら,調査票運用の手順を見直すことで再度調査を依頼している.今後,データ収集と分析を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度中に,共同研究を行っている医療機関うち,ひとつの病院で,生体侵襲を伴う医療業務の実施状況を分析するための調査票を運用してデータ取得する予定だったが,当該病院内の医師による詳細な調査票への回答時間が確保できず,データが十分に得られなかった.計画変更により,調査内容の絞り込みを行うとともに,調査票運用の手順を見直すことで再度調査を依頼した後にデータ取得・検討することになったため. 期間の延長が承認されたことから,平成26年度中に,データ取得・分析,結果の検討に伴う病院訪問(所在地:福岡)および学会発表に伴う英文校正費用,参加費,交通宿泊費に使用する予定である.
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Research Products
(18 results)