2012 Fiscal Year Research-status Report
亜熱帯型環境共生住宅地の土地利用規制に関する研究―沖縄らしい基地跡地開発に向けて
Project/Area Number |
24710168
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
小野 尋子 琉球大学, 工学部, 助教 (20363658)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 沖縄県 / 基地跡地利用 / 土地利用計画 / 環境共生住宅 |
Research Abstract |
申請者は沖縄県が作成する長期振興計画「21世紀ビジョン」の学識検討委員であり、部会の中で大規模基地跡地利用の検討を行なっている。その中で、基地跡地については「沖縄らしい市街地の形成」「環境共生型開発」ということが大筋計画の方向性としてオーソライズされ、文言として位置づけられた。しかし、申請者がこれまでに実施した「らしさ」を創出する景観基準や開発事業に関する住民の意識調査研究、及び沖縄本島内で実現された環境共生住宅地における開放性や温熱環境調査では、必ずしも計画理念やコンセプトが実現されおらず、基地跡地の開発に向けて、環境に共生する沖縄らしい土地利用規制のあり方について検証を行うことを目的として着手された。 平成24年度は、当初申請計画通り環境に配慮した規制を持つ計画住宅地において、市街地の温熱環境を主とした環境計測を実施した(宮城地区、美浜ハイツII地区、伊佐地区)。本研究は、基地跡地利用に向けた基礎研究となるため、沖縄県企画部企画調整課駐留軍用地跡地対策沖縄県本部、普天間市役所基地政策部基地跡地対策課、地主会、若手地主会、市民の会、都市再生機構と随時連携をもって進めている。また申請者が担当する大学の授業(琉球大学工学部3年次都市計画法制やゼミ)の学生と前述した関係団体とで、ビジョニングという手法を用いながら、ワーキングを重ねてきた。平成24年9月には「基地跡地利用計画における水と緑のネットワークの再生における課題」として都市計画学会九州支部のシンポジウムを開催し、参加者100人の市民・関係者に得られた知見を還元した。 基地跡地の緑地のありかた、集落のあり方については研究に基づく提案をまとめたものを沖縄県が主催する「沖縄の新たな発展につなげる大規模基地返還跡地利用計画提案コンペ」に提出し、一般企業も参加する全国79作品中2位となる優秀賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度はおもに温熱環境の計測を達成目標としていた。計測は無事に終わり、集計および分析を進めている。こうした研究活動以外に、科研の研究で得られた知見を学会のシンポジウムを主催する形で広く地域社会に還元できたこと、また分析をもとにした提案を取りまとめて応募した沖縄県主催の大規模基地返還跡地利用計画提案コンペにて全国79作品中2位となる優秀賞を受賞したことから、社会への還元という側面で「(1)当初計画以上に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
昼夜間気温差・年間気温差が共に小さく温暖な沖縄の場合、環境共生は通風の確保が鍵となる。沖縄らしい「開放的な」生活を実現する空地のルールを探るために、空地のパターンの異なる「3つの計画市街地」と、類似する居住密度・敷地規模を持つ「一般市街地」とを対象として、 ・第1段階(H24-25);温熱環境と通風を主とする環境条件の差 ・第2段階(H25-26);敷地規模や敷地割と壁面後退距離による主観的な視線の気になり方と住宅の開放性 ・第3段階(H26-27);夏場のクーラー使用頻度から、計画の有無及びパターン別CO2削減効果 と段階的に、比較検討を行う。これにより街区構成とそれに伴う土地利用規制が、住宅地の環境条件にどの程度有効で、それが住まい方にまで影響を与えているのかを考察する。 第一段階の計測が済んだため成果を論文として取りまとめつつ、敷地規模等の検討に入る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計測を行った各環境配慮型市街地と周辺の一般低層市街地、伝統集落地で憲兵容積の充足率、実現緑化率などを計測し、各種土地利用規制・建築規制の状況と市街地の関係を整理する。本年度はおもにこれらの市街地状況の計測調査やデータ入力の人件費として20万、学会発表旅費として15万(格安旅券使用)、物品費用で30万、国内先進事例調査15万(格安旅券使用)として80万円を使用予定。 平成24年度残金によって平成24年度成果分の英語論文の校正費用(6万円程度)、及び環境共生施策が進んでいる宮古島調査旅費(4万円程度)として使用予定。
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Research Products
(7 results)