2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24710169
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
新里 隆 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (70574614)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ポートフォリオ最適化 / 情報統計力学 / ランダム行列 / レプリカ解析 / 平均分散モデル / 絶対偏差モデル / 確率伝搬法 / 漸近固有値分布 |
Research Abstract |
近年,金融工学とは異なる研究分野である「情報統計力学」を用いてポートフォリオ最適化問題の解析が活発に行われている.本年度では申請した研究目的である「トレンドやカップリングなどの収益率間に含まれる相関を考慮に入れて既存手法を改良し,より実効的な最適化手法の構築を目指す」ための要素研究として,以下の4点について調査分析を行った(該当期間にて継続的に行った研究も含める). (1)空売り規制付きポートフォリオ最適化問題の情報統計力学:ポートフォリオ最適化問題の最適解の統計的な振る舞いにおける空売り規制の影響について解析を行った.(2)分散が異なる資産群に対するポートフォリオ最適化問題の情報統計力学:各銘柄の分散値が異なることによる最適解に与える影響を解析的に調べた.(3)各成分の分散値が異なるランダム行列の漸近固有値分布:最適解のリスクと分散投資達成度が収益率を成分とする収益率行列の固有値分布で表されることから,ランダム行列の固有値分布についての基礎研究を行った.(4)収益率が相互に影響する銘柄群と複数の制約条件を持つポートフォリオ最適化問題の情報統計力学:(3)の結果を用いて最適解の振る舞いについて詳細に調べた.また制約条件による効果についても調べた. 以上が初年度の実績であり,これらをまとめて学術誌に投稿している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に示した「(2)各資産の収益率間に含まれる相関の特徴づけをし,(3)ランダム行列理論を用いてこれらを理論的に整備する.特にランダム行列アンサンブルの積分公式の導出を行う際に必要とされる仮定が正しいかどうかを数値実験を用いて検証する.(4)次にランダム行列アンサンブルの積分公式を用いて,既存手法で得られたレプリカ解析を拡張する.またレプリカ解析の性能評価に匹敵することが期待される適応TAP方程式を用いて,最適解の求解アルゴリズムを導出する.」という内容に沿って概ね順当に遂行されている.ちなみに(2),(3),(4)は研究実績の概要で取り上げた以下の項目,(2)分散が異なる資産群に対するポートフォリオ最適化問題の情報統計力学,(3)各成分の分散値が異なるランダム行列の漸近固有値分布,(4)収益率が相互に影響する銘柄群と複数の制約条件を持つポートフォリオ最適化問題の情報統計力学,のことである.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の結果を踏まえて,平成25年度は理論解析の妥当性(実際の企業データに適用して手法脳有効性などを検証する)などを確認していく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請書通りに研究費を使用し,研究を遂行していく.具体的には,平成25年度では,前年度の理論解析の結果をまとめ,学術誌に投稿する.その際英文校閲代や別刷り代などの論文作成に研究費の一部を使用する.さらに理論解析が正しいかどうかを確認するために,実際に帝国データバンクから得られる企業情報を基に構成されたポートフォリオ最適化問題の最適解の振る舞いを解析する.そのためには企業情報のデータ(他業種,多期間)を購入する予定である.
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Research Products
(7 results)