2012 Fiscal Year Research-status Report
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24710174
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
安井 清一 東京理科大学, 理工学部, 助教 (90434026)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 統計的プロセス管理 / 品質管理 / 時系列解析 / 変化点推定 / 統計解析 |
Research Abstract |
本研究の目的は,生産プロセスにおける品質改善,品質管理を行うために,生産プロセスの管理特性(製品の品質特性)における変化点を検出,推定することである。プロセスの変化点検出や変化点推定は,これまで多くの研究が行われてきたが,トレンドの変化点の検出や推定はほとんど行われていない。例えば,生産プロセスにおいて,データの直線的なトレンドはよく見られる。そのトレンドは,途中で不連続に平行移動したり,トレンドの傾きが変わったりすることがある.このような変化点は,プロセスの状態が変化したことを示している場合が多く,その原因を追及し,是正してプロセスを安定化させることは,品質保証上の重要な活動である.本研究では,生産プロセスで典型的に見られる直線トレンドについて,その変化点を解析する方法を開発してきた. 本年度は,これまでに研究してきた,データに外れ値が存在しても,うまく解析できる直線トレンドの変化点解析法について学術論文としてまとめ,Frontiers in Statistical Quality Control,第10巻に掲載された.この手法は,ある時点の近くのデータを2次多項式で近似し,変化点の存在を推測することを基礎としている.近似式を一般化して n 次多項式で近似することも考えられるが,その際には次数を決めるために変数選択を行わなければならない.多項式による近似は最小二乗法によって行われるが,変化点を調べるためのデータ数は,多くとることができないため,Lasso法が有用である.Lasso法の性能や,従来から良く用いられている変数選択指針を組み込んだLasso法について研究し,その成果を Asian Network for Quality 等で発表,また,学術論文に投稿し,Frontiers in Statistical Quality Control,第10巻に掲載された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに行ってきた研究の成果を順調にまとめることができ,学術論文誌であるFrontiers in Statistical Quality Control,第10巻に掲載されている.また,今年度の新たな研究成果も,日本品質管理学会,2012年度統計関連学会連合大会,Asian Network for Quality 2012,XXVith International Biometric Conferenceで発表した.また,本研究の最終目的であるウエーブレットによる変化点推定について,関連研究,および,関連書籍の収集ができ,次年度の研究活動の基礎ができた.
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Strategy for Future Research Activity |
直線的なトレンドのステップ状の変化(ジャンプ)の検出能力を向上させることに注力する。従来は,局所的多項式平滑化法を用いて,多項式の係数の特徴的な変化に基づいた検出方法を開発してきた.しかし,ステップ状の変化は不連続関数に対応することから,ある時点の近傍において,ウエーブレットによって平滑化する方が,変化の検出により適していると考えられる。この点を考慮し,ウエーブレットによる直線的なトレンドのジャンプを検出する手法の開発を行う.また,乱数を用いて性能の評価を行うモンテカルロシミュレーションにより,従来法と開発法との性能を比較する.また,直線的なトレンドだけではなく,曲線的なトレンドにおけるジャンプの検出についても適用し,曲線的なトレンドについても有用かどうかも評価する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の前半期において,計算システムの環境を整備し,数値解析,モンテカルロシミュレーションによる開発手法の評価をスムーズに行えるようにする。高信頼性の計算機や無停電電源装置などのハードウエェア,コンパイラ・インタープリタや数値計算ライブラリ等のソフトウエアを購入する予定である.また,今年度の研究成果を国内,国外で発表を行う予定であるため,その旅費,渡航費に用いる. 学術雑誌への投稿も予定しているので,論文投稿料、論文掲載料等にも用いる予定である. 次年度の後半期においては,次年度の前半期における研究成果を整理し,国内,国外で発表を行う予定である.また,学術雑誌への投稿も予定しており,そのための旅費,渡航費,論文投稿料,論文掲載料等の諸経費に本研究費を用いる予定である.
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