2012 Fiscal Year Research-status Report
装着型ロボットの使用により生じる転倒リスクの定量化とその低減方法の提案
Project/Area Number |
24710184
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
秋山 靖博 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (00610536)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 国際研究者交流(アメリカ) |
Research Abstract |
本研究は,装着型ロボットの実用化に際して課題となる,ロボットの装着から生じる動作制約を原因とする転倒(以下,装着起因型転倒)を対象とし,その転倒リスクおよび削減方法の定量化を目的としている.そのために,本年度は動作制約などの各種転倒要素が転倒可能性および負傷の程度に与える影響を推定するための実験装置開発および実験を行った. まず,装着型ロボットに予想される転倒要素を実験的に再現するため,模擬装着型ロボット(以下,模擬ロボット)の製作を行った.模擬ロボットは,市販及び開発中の装着型ロボットを簡略化し,模擬ロボット自体が装着者の歩行に与える影響を抑制すると共に,転倒要素を実装することを目的として製作された.その為,軽量かつバックドライバビリティに優れた構造および豊富な調整箇所(リンク長さ,固定方法等)を有する.一方,各種転倒要素の影響に関する基礎的なデータの取得,蓄積を図るため,高度なアシスト機能は実装されていない. 次に,模擬装着型ロボットを装着し,歩行実験を行った.その際,ロボットの調整不良,動作干渉等の転倒要素を有する条件を用いる事で,それら条件による歩行安定性の変化を計測,評価した.モーションキャプチャ装置,フォースプレートを用いた計測により,一部の条件において,関節屈曲角度,歩行速度,ケイデンス等の歩容パラメータについて有意な差が計測された.これらの結果は,障害物に対する足かけ等のリスクの増大,重心の動揺など,転倒リスクの増加を示唆するものである.さらに,人体動作解析シミュレーションにより,関節トルク,人体各部への負荷を推定し,模擬ロボット装着時の歩行が装着者に与える肉体的負荷の評価を可能にした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,装着型ロボットの装着起因型転倒リスクの定量化を目的としたものであり,そのための装置開発,実験および解析を行っている.これまでに,当初予定していた装置開発がほぼ完了し,予備実験を行った.その結果を踏まえ,装置の改善および実験シークエンスの見直しを行っている.研究の過程においては当初予定していた順序とは前後する箇所があるものの,全体としては順調に展開しているものと考えられる. 当初計画では平成24年度に装置開発および実験を行い,その後シミュレーションの構築を行う予定であった.その為,装置開発および実験シークエンスの設計を行い,予備実験を行ったが,一部条件においては,被験者の動作に当初予想していたものとは異なる動作が見られ,シミュレーションでの再現および外挿の実現が懸念された.その為,シミュレーションコードの作成を前倒しで行い,その実現性を検証した. その結果,装置開発および実験の延期が必要となり,昨年度時点では終了しなかった.しかし,シミュレーションの作成を行ったことで実験シークエンス,条件の設計においてシミュレーションとの親和性を考慮した改善を加える事が可能となっており,以後の実験,解析の円滑化につながるものと考えられる.その為,シミュレーションコードの開発を前倒しで行ったことも踏まえ,平成25年度末までには予定どおりの成果が得られるものと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,実験装置の改修および実験シークエンスの改善を行い,装着型ロボット装着時の装着起因型転倒リスクに注目した転倒模擬実験を行う.また,シミュレーションの開発も継続し,実験結果を用いた転倒リスクおよび障害の定量的評価を行う. 実験装置の改修は,アクチュエータおよび制御プログラムの改善に加え,予備実験の過程で明らかとなった転倒モードに対応するため,対象とする転倒要素の拡張を行う.これらは,一部機材の交換及び部品の追加を伴う中規模の装置改造である.また,装置の改造に伴い,転倒要因を実装しない条件における模擬ロボット自体の歩容への影響に関する検証を改めて行う.また,予備実験の過程で,実験の時間短縮および被験者の疲労軽減の必要性が明らかとなった.これは,装置の着脱および試験ケースの設定が煩雑であることによるものである.そのため,今後実験シークエンスの見直しを行い実験の簡略化を行う.具体的には,着脱回数の削減やその方法の簡略化,各試験ケースにおける水準の削減等によるシークエンス全体の簡素化等を行う.また,シミュレーションの開発を進め,対象動作および再現時間の拡張を行うことで,実験結果を用いた効果的なリスク分析手法の開発を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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