2012 Fiscal Year Research-status Report
視覚性自己運動知覚を利用した速度超過行動抑制手法の構築
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24710186
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
松井 俊樹 岡山県立大学, 情報工学部, 助教 (50453204)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 安全システム / 道路交通 / ドライバ支援 / 速度知覚 |
Research Abstract |
旧来より,運転中のリスク低減に向けて様々な安全対策が講じられてきた.しかし,先急ぎ運転などのリスクテイキング行動は依然として存在し,交通事故など危険状況に陥る原因となっている.本研究では,ドライバに走行速度に応じた視覚運動刺激(optic flow)を呈示することで,視覚性自己運動知覚を誘発してドライバの速度知覚に介入し,リスクテイキング行動を抑制することが可能かどうか検討を行う.この中で,運転中に自己運動知覚を誘発させた場合の走行速度知覚特性のモデル化,自己運動知覚はドライバの速度制御行動にどの程度反映されるかを明らかにして,運転行動を安全側に誘導する方法を構築することを目的とする.初年度は,まずシミュレータの整備,透明ディスプレイを使った視覚運動刺激呈示システムの構築を行い,本研究で使用する実験環境を整備した.その後に,シミュレータ実験における観察者の速度弁別能力の検証など基礎的なデータ収集を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度にドライバに呈示する視覚運動刺激の物理特性について,被験者実験から検討する予定であった.しかし,使用する透明ディスプレイ装置の発注から納品までの期間が当初の予定よりも非常に長く,刺激呈示システムの構築が遅れた.また,納品後も装置の一部に不具合が存在し,これを修正するために機器を使用できない期間があった.このため,視覚刺激に関する実験は遅れ,実施するはずであった視覚運動刺激の物理特性の検討,視覚運動刺激呈示が速度知覚に与える影響に関する被験者実験が完了していない.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,初年度に行う予定であった視覚運動刺激のパラメータ選定について早急に実施する.具体的には呈示する領域,運動方向,速度や密度を変化させ,速度知覚に影響を与える範囲とその程度について,被験者実験により検証する. 次に,移動時の状態に関する検討を行うために,受動移動と能動移動で速度知覚が異なる可能性について検討する.これまでに行ってきた実験では,受動移動の状態での知覚状態を検証している.しかし,いくつかの先行研究より,これら2つの間では注視点の移動範囲や視線停留時間などが異なることが報告されている.このため,呈示刺激による効果についても違いが生じる可能性があり,調査する必要がある.最後に,呈示する刺激パラメータを変化させることにより,運転者の行動をパラメトリックに変化させることが可能か否かについても検討したい. 最後に,得られたデータから知見のまとめおよび問題点の洗い出しを行い,最も適した刺激提示方法,走行速度抑制効果について評価を行う.また,同時に被験者の内観報告を指標にして,被験者が受ける精神的,肉体的負担などについても評価を行う予定である
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度では,実験参加者への謝金,調査および研究内容発表に伴う旅費への支出を予定している.
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