2013 Fiscal Year Annual Research Report
視覚性自己運動知覚を利用した速度超過行動抑制手法の構築
Project/Area Number |
24710186
|
Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
松井 俊樹 岡山県立大学, 情報工学部, 助教 (50453204)
|
Keywords | 安全システム / 道路交通 / ドライバ支援 / 速度知覚 |
Research Abstract |
本研究では,近年広がりを見せるスマートグラスなどの情報提示装置を用いて,運転中のドライバに視覚運動刺激(optic flow)を重畳呈示することにより視覚性自己運動知覚を誘発させ,ドライバの速度知覚に外部から介入することが可能かどうかの検討を行った.本年度は,視覚運動刺激の呈示がドライバの速度知覚にどのような影響を及ぼすのかを,前年度に構築した3画面ドライビングシミュレータと透過型ディスプレイを用いた実験装置を使って調査した.まず,被験者の視野全体に同方向に運動する刺激を重畳呈示した場合の速度知覚について調査を行った.その結果,鉛直下向き,左右水平に広がる方向,消失点から半径外向き方向に運動する刺激を重畳呈示することで,刺激がない条件に比べて有意に遅い速度を知覚することが確認された.次に,刺激の移動量が変化する際の速度知覚について調査を行ったが,この効果は確認できなかった.ここまでの実験結果と被験者からの内観報告を基に理由を考察したところ,視野中央に呈示した刺激が速度知覚に対してディストラクタとして振る舞っていることが考えられた.そこで,消失点を中心として半径方向に運動する刺激を,視野中央で半径15degより内側の範囲とこれより外側の範囲に分けて,それぞれ別々に重畳呈示する実験を行った.その結果,視野中央に刺激を重畳呈示した場合には,先の実験と同様に刺激がない条件に対して有意に遅い速度を知覚し,中央よりも外側に重畳呈示した条件では有意に早い速度を知覚することが確認できた.さらに後者条件において,刺激の空間密度や移動量を変化させたところ,これによる効果を確認することができた.現在,これらの結果について対外発表の準備を行っている.今後,本研究を継続することで速度知覚モデルの構築,受動移動と能動移動による違いについてなどの検討を行うことを予定している.
|