2012 Fiscal Year Research-status Report
重度傷病者の搬送を可能とする空気圧制御を用いた担架システムの開発
Project/Area Number |
24710194
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Akashi National College of Technology |
Principal Investigator |
岩野 優樹 明石工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90413799)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 救助システム / 階段昇降 / 星形車輪 |
Research Abstract |
本研究では,ダブルクローラ方式を採用した担架システムを開発し,傷病者をわずかな力で担架へ乗せ,そのまま階段昇降も行えることを目的としている.最終的には,担架システムに局部圧迫防止や振動抑制の機能を付加することで,重度傷病者を安全かつ迅速に救助可能なシステムを開発する.今年度は,以下の2点の項目を実施した. ①担架システムの階段昇降機構の改良:傷病者の局部圧迫や振動を抑制する以前に,実際の災害現場を想定した場合,現在の階段昇降速度では非常に遅いことから,まず始めに速度の改善を重点に階段昇降機構について検討する.階段昇降機構の分類から新たな階段昇降機構を提案し,製作することで階段昇降速度の改善を行う. 本研究では,五角形の車輪を複数個連結する機構とすることで,階段の角にフィットし,エッジの高さも高く取れつつ,クローラのように階段の角に複数箇所接地できるメリットを備えた階段昇降機構を試作した.その結果,従来のシステムに対して階段上昇速度が約3倍以上,階段降下速度も約1.5倍の向上が実現できた.本研究で開発した五角形の車輪により,段差の角にフィットし,階段上昇・降下ともに滑落が全く見られなくなった.重量も軽量化されたことから,隊員が背負って現場へ搬送可能となり,迅速な救助活動が期待できると考える. ②手持ち担架における振動の様子の検証:地元消防隊員にヒアリングを行った結果,救助活動のうち,傷病者の搬送に特に大きな負担を感じ,その点を改善する機器があれば有効であると指摘を受けた.そのことから,手持ち担架で傷病者を搬送する際の,搬送速度や人数によって,振動がどのように変化するかという検証を行う. 実験の結果,4人で搬送した場合は搬送速度が上がるにつれて鉛直方向の並進運動に加え,ロール・ピッチ方向の振動も発生していることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
担架システムの開発にあたり,地元消防隊員にヒアリングを行った結果,まず階段昇降速度が遅いため,そもそも現場での使用に至らないということが意見として挙げられたため,階段昇降機構の見直しを行い,改良を行った.そのため,当初予定していた担架上部の改良に着手することができず,研究の遂行が若干遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度開発した階段昇降機構の完成度を高めつつ,当初の計画通り傷病者の搬送時の振動を抑制するために,エアマットを取り付けた担架システムを開発する.その際,今年度取得した加速度のデータを参考に,マットの配置等を決定する.その後,実際に平地や階段昇降などを行い,加速度のデータ測定を行い,システムの評価および改良を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
まず,エアマットを製作するための,エアセルや空圧機器の購入を行う.また,階段昇降機構の改良のための,金属材料や機構部品等の購入を行う.その間,研究の進捗状況の報告のため,学会への参加のための旅費や参加費および昨年度の成果を論文として投稿する投稿料等に研究費を使用する計画となっている.
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