2013 Fiscal Year Research-status Report
重度傷病者の搬送を可能とする空気圧制御を用いた担架システムの開発
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24710194
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Research Institution | Akashi National College of Technology |
Principal Investigator |
岩野 優樹 明石工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90413799)
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Keywords | 救助システム / 階段昇降 / 星形車輪 / 非線形構造 / 振動低減 |
Research Abstract |
本研究では,ダブルクローラ方式を採用した担架システムを開発し,傷病者をわずかな力で担架へ乗せ,そのまま階段昇降も行うことを目的としている.最終的には,担架システムに局部圧迫防止や振動抑制の機能を付加することで,重度傷病者を安全かつ迅速に救助可能なシステムを開発する.今年度は,以下の2点の項目を実施した. ①担架システムの階段昇降機構の改良:昨年度,五角形の車輪を複数個連結する階段昇降機構を試作した.その結果,従来のシステムに対して階段上昇速度が約3倍以上,階段降下速度も約1.5倍の向上が実現できたが,可搬重量の増加に伴い,滑りが発生した.そこで,車輪の素材をブルコラン(ゴム)および,アルミ材の表面にゴムを貼り付けた車輪に変更し,車輪の形状も引っかかりを良くするよう改善した.その結果,ブルコランは想定以上の変形が起き,性能低下となったが,ゴムを貼り付けたアルミ車輪は,従来システムより滑りを低減することができ,性能向上となった. ②非線形構造による振動低減装置の開発: 昨年度,手持ち式担架に人を乗せて搬送作業を行い,そのときの振動を計測し,発生する振動の大きさ・方向・周波数などの特性を把握した.その計測結果より振動低減の方法を検討し,振動低減装置を製作した.具体的には,手持ち式担架や,本研究で目指す担架システムの搬送速度は,消防車の搬送速度とは異なり,2~3.5Hz程度の低周波領域で振動が発生する.そのような低周波領域では,通常の縦バネや,エアマット等による振動低減ではなく,非線形構造による振動低減が効果的とわかった.そこで,非線形構造を有した振動低減装置を設計・製作し,その装置を用いて搬送時の振動計測を行った.その結果,各搬送速度における加速度の値が防振なしに比べ,飛躍的に小さくなり,RMS値を用いて装置により搬送時に発生する振動を約60%低減させることができることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度階段昇降機構の見直しを行ったことが影響したことと,今年度は本研究に予定していたエフォート率を確保できなかったことから,研究の遂行が若干遅れている.しかし,新たな振動低減方法を開発するなどして効果が出ていることから,当初予定していた機能の実現は可能であると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,開発した階段昇降機構の完成度を高めつつ,今年度開発した非線形構造の振動低減機能を担架へ付加する.そして,搬送時の振動の度合いに応じて,エアマットを取り付けた担架システムを開発する.その際,今年度取得した加速度のデータを参考に,マットの配置等を決定する.最終的に,実際に平地や階段昇降などを行い,加速度のデータ測定を行い,システムの評価および改良を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は本研究に予定していたエフォート率を確保できなかったことから,研究の遂行が若干遅れている.そのため,物品の購入にかかる使用が少なくなった. まず,担架上部の改良を行うため,金属材料や機構部品等の購入を行う.また,エアマットを製作するための,エアセルや空圧機器の購入を行う.その後,研究の進成果報告のため,学会への参加のための旅費や参加費および昨年度の成果を論文として投稿する投稿料等に研究費を使用する計画となっている.
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