2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24710203
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Fuji Tokoha University |
Principal Investigator |
嶋野 岳人 富士常葉大学, 環境学研究科, 准教授 (70396894)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 火山噴火推移 / 噴出物 / マグマ / モニタリング |
Research Abstract |
諏訪之瀬島火山における常時降灰試料採取の観測体制確立の準備に取りかかった.特に,採取試料と火山現象(特に火口の形状や噴煙の噴出状況などの表面現象)との対比を行う上で重要な火口監視を行うため,火口内部の目視が可能である火口縁にカメラを設置する準備を行った.しかし,諏訪之瀬島火山は2000年の活発化以来これまで約13年間活発であったにもかかわらず,火山活動が低下し,殆ど噴火しない状況になってしまった.このため,諏訪之瀬島火山における観測頻度を減らし,代わって火口観測は困難ではあるが,国内で最も活発な噴火活動の続いている桜島火山における観測日数を増やした.桜島火山では,これまでの1日あたり1試料の火山灰採取体制を維持すると共に,約1ヶ月毎の観測時には分~時間の頻度での降下火山灰試料採取を実施し,爆発1回あたりの噴出物の変動について調べるための試料を採取した. これらの採取試料についての分析を行った.分析項目としては,これまで行ってきた火山灰粒子中の火山ガラス組成に加え,火山灰の色について定量的に評価するため,分光測色測定を行った.この結果,噴出時の火口の状況等により,火山灰の色が系統的に変化することが明らかとなった. これまでの研究成果は2012年火山学会秋季大会および2012年アメリカ地球物理学連合総会で発表を行った.また,2013年7月開催の国際火山学地球内部化学協会学術大会で招待講演を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
活動的火山における降下火山灰試料の長期間連続自動採取手法については,火山活動が適度に活発である場合は十分行える状況が確立された.得られた火山噴出物の分析についても,本研究で新たに開始した分光測色測定による色の定量化が進み,桜島における色変化の時系列変化が表面現象の定性的な変化(火口の拡大や噴煙の濃さ)と系統的に変化していることがわかった. 一方,当初目標としていた諏訪之瀬島における火口観察と火山灰採取の同時観測については,火山活動の急激な減衰により,実施の延期を余儀なくされた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は諏訪之瀬島火山の活動状況が低迷した結果,火口観測を行った火山灰試料の連続採取体制の確立をすることが出来なかった.しかし,諏訪之瀬島では昨年秋頃から,火山活動の活発化に先行すると言われる微動の発生が継続している.これまで数十年間の活動も同様の数年単位での消長を繰り返しているため,今後は,新たな活発化に備えて火口観測体制の確立する.一方,諏訪之瀬島火山の活発化が無かった場合に備えて,桜島における連続観測は継続し,その試料解析を継続していく. また,試料の分析については,これまでの長期的な時系列変化の解析を継続して行うのに加えて,平成24年度に採取した比較的短時間の間に採取した試料の時系列変化を検討することにより,長期的なマグマ供給過程に加えて,短期的なマグマの上昇過程についても検討を行う予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
諏訪之瀬島の活動減衰により,諏訪之瀬島への観測回数が減ったため,研究費の使用額が当初の予定を下回った.しかし,火山活動活発化の予兆と思われる現象が認められているため,次年度は諏訪之瀬島における観測体制確立を目指していく.そのため,繰り越している研究費についても今年度中に使用する予定である.
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Research Products
(6 results)