2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24710208
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
地下 まゆみ 大阪大谷大学, 教育学部, 准教授 (20406804)
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Keywords | 土砂災害 / 細粒物質の運搬 |
Research Abstract |
地球温暖化の影響による異常気象や地震を引き金とする土砂災害が世界各国にわたり多くの被害を引き起こしている。地すべりを含む土砂災害は自然の営為であり、地形を形成するひとつのプロセスである。土砂災害をあらかじめ予測することは非常に困難であるが、事前に発生場所を予測することは可能であると考えられている。土砂災害発生の要因は斜面安定限界を超える降雨があったこと(自重の増加、浸透力など)、それを基に斜面の抵抗力の低下と捉えたサクションの低下などが報告されている。さらに土砂災害の発生には地形・地質も大きく関係している。本年度は地すべり地における地下水の挙動と地質・鉱物学的変化の関係より、地下水面の推定方法の提案、細粒物質の運搬メカニズムについて検討した。 最終年度である本年度は、昨年度の検討結果を踏まえて、土砂災害に関係する地下水と粘土鉱物の関係について、擬似斜面を用いた室内実験ならびに現地調査を行った。疑似斜面は、崩積土や風化土から成る透水層と基盤の不透水層の2層構造を想定した。このような2層構造の斜面は、基盤岩を覆うように上部に崩積土が堆積した、透水層と不透水層が明瞭な斜面として土砂災害の調査研究でも報告されている。層の境界部がすべり面と考えられており、このようなすべり面には粘土鉱物が観察される。主要な造岩鉱物のひとつである石英と土砂災害の要因に挙げられるスメクタイトを用いて作成した疑似斜面にて、細粒物質の運搬メカニズムについて実験を行った。また、疑似斜面と実際の斜面との比較を行うため、花崗岩分布地域、堆積岩分布地域にて岩相境界が明瞭な崩壊地を選定し、調査を行った。2層構造から成る疑似斜面と実際の崩壊斜面では、細粒物質の運搬には違いがあると推測された。実際の崩壊斜面の鉱物学的観察では網目状に浸透する水が細粒物質を運搬し、細粒物質の堆積場に関しては地質が関係していると考えられる。
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