2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24710229
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
加藤 太陽 島根大学, 医学部, 助教 (40548418)
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Keywords | 転写 / クロマチン / Spt6 / Iws1 / RNAポリメラーゼII / ヘテロクロマチン |
Research Abstract |
転写装置であるRNAポリメラーゼII(Pol2)と直接相互作用するヒストンシャペロンであるSpt6は、転写領域の既存のヒストンの流出を抑制する。このSpt6と相互作用するIws1は、試験管内においてSpt6とヒストンの相互作用を拮抗阻害するという報告があるが、細胞内での役割はほとんど分かっていなかった。 本研究ではクロマチン免疫沈降(ChIP)等によってIws1の機能をゲノムワイドに解析した。Iws1の遺伝子破壊は、ヘテロクロマチンにおけるサイレンシングを脱抑制するだけでなく、ヘテロクロマチンやユークロマチンの転写領域においてヒストン量を減少させた。ヒストン量の減少の程度は転写量(Pol2の結合量)と相関した。ただし、これらの表現型はSpt6の遺伝子破壊より程度が弱く、この傾向はヒストンH3のメチル化修飾の維持という観点からも同様であり、Iws1は補助的に働くことが示唆された。本研究では、ChIPで得たサンプルの高速シーケンシング(ChIP-seq)の解析系の改善にも取り組んだ。興味深いことに、遺伝子の配向性を考慮に入れたゲノムワイドな検討の結果、Spt6とIws1の遺伝子破壊によってヒストンH3の配置が転写の下流方向にシフトすることが判明した。このことから、Iws1はSpt6を補助してDNAとヒストンの結合の維持に貢献し、その機能が損なわれることで転写時のヒストン流失やヒストンのズレが生じると考えられる。
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Research Products
(6 results)